単品ECの基本戦略(2)売上追求から利益志向へ(販売戦略)

元来、ダイレクトマーケティングは利益追求型のビジネスモデルであり、大量の広告投下をして、利益率を低く抑えてでも莫大な売上量を上げることで利益の絶対額を獲得しようとするマス・マーケティング型とは一線を画するものです。何より、売上規模を追いかけるものではないのです。
 ところが、かつて日本に通販ブームが起こった1980年代では、通販事業に参入した多くの企業が売上至上主義であり、何よりも短期間で売上規模を追求した結果、カタログ代などの経費が嵩み、かつ低価格品の販売中止で不採算に陥り、ほどなく撤退して行きました。

単品ECブーム到来~2000年以前
 単品通販はこのブームが去った後に、地方で起こったスモールビジネスを起源として発展して行ったのです。彼らの売上は大手チェーンストアの1店舗の10分の1程度しかありませんでしたが、経常利益では店舗のそれを凌ぐ額を確保するほど高利益率でした。

その利益の大半は、既存顧客からリピートにより継続的に得られる利益によるものです。すなわち、利益志向とは既存顧客を大切にして、そのLTVの最大化をめざすということに他なりません。

EC通販においても売上の規模を追いかけようとすると、モールをはじめ集客力のある場所に多く出店することに掛かり切りとなったり、集客に莫大な広告費を投下したり、あるいは、よく売れている(レスポンス率の高い)商品を優先して取り扱う結果、他店と同じような品揃えとなり価格競争に巻き込まれるなど、必ずといってよいほど利益の生まれない状況を引き起こしてしまいます。事業である以上、一定の規模は必要ですが、それを最優先するのではなく、利益を見据えた上でのバランスをとることに留意して、長い目で規模拡大をめざしましょう。

LTVをどう測るのか
 一方、EC事業者の多くは、自社(自店)顧客のLTVを計測したこともないようです。まずは、自社のお客様からどれぐらいの利益が得られているのか、あるいはその多寡のばらつき状況を把握しましょう。

既存顧客、特に優良顧客の利益貢献度を知ることで、あなた自身がそれまで持っていた商売に対する考え方や姿勢にかならずや変化が起きるでしょう。
米国では、店舗小売業であっても優秀な企業は利益志向です。明確なターゲットを設定し、規模は大きくなくても自社が開拓できる、あるいは、その中で圧倒的なシェアを獲得できる市場を設定し、その規模に対応した商品を調達し、出店店舗数や立地条件を設計するのです。

彼らがさらに売上規模を拡大したいと考えた場合は、今の店舗を想定以上に増やしてひたすら売上拡大を追求するのではなく、新たなターゲット、市場を設定して、新たなフォーマットを設計し、新市場を開拓するという選択をするのです。

 単品ECにおいても同様で、たとえば、健康食品の青汁で成長した通販企業は、一定の市場を獲得できたと判断したら、次は青汁を愛用いただいた顧客が求める他の商品を研究し、開発することで、新たな市場を創造していきます。

ニッチ市場を追求すればするほど、その規模は限られてきます。それだけに、その規模の中で確実に利益の出る事業設計を行うことが大切です。

先ずは売上÷年間購入の顧客数で平均LTVを確認し、出来れば購入数別である程度のグループ分け。売上÷発送数で客単価。さて、一人当たり利益は??