その2~EC通販のフルフィルメント業務の核となる「コンタクトセンター」について

前回の続きからですので、②から始めます。

②コンタクトセンターに必要な設備・装備

 ○コミュニケーター席の設備
  入電数(受注数など)に対応した電話回線と電話機が、まず必要であるが、さらにこれら通信系システムと情報システムと連動したCTIが導入されているとサービスレベルや応対品質の向上やきめ細かな運営管理が可能となる。
例えば、顧客データベースと連動して、対話中の顧客の様々な情報を表示させながらコミュニケーションすることができる。前回ご注文のお礼を申し上げたり、過去の購入商品傾向を見ながら、その方が興味を持っていそうな商品を紹介したりといったことを通じて、いっきにお客様との距離を縮めるなど、様々な活用が考えられる。
 CTIを導入したセンターのイメージは、次のようになるだろう。
コミュニケーターの各デスクには、顧客データベースにアクセスできるCTIサーバーとつながったコンピュータ端末が配置されており、端末には電話が接続され、そこから、ヘッドセットレシーバが接続されている。受話器を持つ必要がないため、両手でコンピュータ端末の操作(入力)をし、商品掲載カタログを広げながらお客様と会話することができる。
コミュニケーター席を見渡せる場所にSV(スーパーバイザー)のデスクがある。ここでは、コミュニケーターの会話内容をモニタリングし、コミュニケーターでは判断できない要件が発生した場合に電話を転送(エスカレーション)して対応する。

※鏡の効用:各コミュニケーターのデスクのPCモニターの端などに小さな鏡が取り付けられたコールセンターを見かけることがある。電話での会話ではお互いの顔が見えないのだが、意外にも表情が声の調子に現れてしまうものである。笑顔で応対すれば明るく気持ちの良い印象を持っていただけ、険しい表情で応対すれば声もとげとげしくなってしまう。この鏡は自分の表情を常に確認し、笑顔と笑声での電話応対を促すための現場の知恵である。

 またコロナ禍で自社コールセンターへの出勤がままならないスタッフの在宅勤務に取り組まれている例なども、ここ数年では見聞してきた。セキュリティーシステムも重要ではあるが、ある通販会社の幹部は「人間関係が一番重要」と仰っていた。孤立することが無いような仕組みと言うか社内コミュニケーションの場として、WEBミーティングなどを増やしていると。

○コールセンターに必要な設備

 人の出入りが多く、かつ、個人情報を取り扱う場所でもあるため、個人情報の漏洩防止のためのセキュリティを設備面、ルール面から万全に行う必要がある。個人情報の保管場所のセキュリティは言うまでもないが、センターへの入退出口はオートロックにして、セキュリティカードや暗証番号で開錠する。手荷物は入室前に全てロッカーにしまい、個人情報がある部屋には持ち込めないルールとする、等の対策が考えられる。その他、労働時間に応じた休憩をとる際に必要な休憩室等も必要だ。

③アウトバウンドの活用

 この場合のアウトバウンドはコールセンター業界なので、もちろん電話等の発信業務、念のため。

○アウトバウンド=電話セールスではない

 アウトバウンドを強引なセールス電話のイメージで捉える人が多いが、お客様との関係ができていない段階でいくら売り込みをかけても成果はなく、逆効果である。アウトバウンドの要諦はお客様とのコミュニケーションを通じた信頼関係づくりであり、その上に立って、お客様の悩みや気持ちを理解し、その方に役立つ情報提供をする姿勢があってこそ、商品も売れるのだ。

その前提に立ったアウトバウンドであれば、例えば、フォロープログラム※と連動した最適なタイミングで行うことにより、大きな効果を生む。

※フォロープログラム:見込客の本品購入促進や購入客のリピート促進のためにDMや電話等を使って、一定期間・回数にわたるコミュニケーションを計画・実践すること。ダイレクトマーケティング用語では「ナーチャリング」などもほぼ同意味。ナーチャリングの場合は見込み客を購入者への引き上げで使う場合が多いと思う。

○アウトバウンドの活用用途

・新規顧客獲得……見込客から顧客への誘導

・既存顧客の深耕……既存顧客の再購入促進や定期コースへの誘導でアップセルやクロスセルのお勧め

・離反防止……離反の予防とつなぎとめを目的としたコミュニケーション

・保全業務……顧客情報のクリーニング、督促・回収業務他

・調査業務……顧客理解や商品やサービスへのアンケート、不満要員や満足要因=購入のキッカケや商品の使用方法など、VOC(Voice of Customer=顧客の声)を集める

次回は「コンタクトセンター運営のポイント」へ続ける予定です。

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