言葉に拘ってみる、「販売代行業」について
今月にブログを書くと2年以上の連続投稿というアテンションがあったので、考えている事をメモしておきたい。
言葉に拘るという事。何かを考えるときに言葉を思い浮かべますよね。もちろん、音楽家は旋律や芸術家は作品のイメージなど、また写真家なら構図や光の入り方など。要は音やビジュアルで考える方々もいらっしゃるでしょうが、その共通項は人に伝える、という事かと。
人に伝える、という事以外にも勿論あるとは思うが、行動に繋げる時には言葉にするのが分かりやすいと思う。
「代行業」とは
さて、考えているのは「代行」という言葉。
代行で想いを巡らせると、運転代行や家事代行や代書屋なんて言葉もTVドラマで見たような。
本人に変わって作業をさせていただく事。
似た言葉としては「代理」。ほとんど同じ言葉であるが、こちらなら「広告代理店」や「保険代理業」や「旅行代理店」など。
ITの普及で「代理業」が廃れていく業種や業界も多いと思うが、新しく「保険の窓口」のような、まとめサイト的な業種も拡大しているようには感じる。
我がEC通販業界では?
広告代理店の業務が以前に比べてアナログのマス媒体からデジタル広告にどんどんシフトしていると聞く。これはTV広告費をデジタル広告費のシェアが逆転したとか、GAFAなどが広告業への力の入れ方を見れば分かる。もう一つはセルフサービスが増えているという点か?昔なら、いや今でもそうだと思うが、TVCMや新聞広告を広告代理店を通さずに実施や、ましてや拡大は難しい。日本の特徴かもしれないが、欧米ではクリエイティブとメディアはそれぞれ分かれているとも聞くが、これも代理業。
セルフサービスという意味では小規模ならみずから行いやすいのがデジタル広告。弊社でもGoogleやFacebookのメタ、Amazon内の広告などは全て自社で行なっている。もちろん、バナーや動画などはパートナーであるクリエーターの助けを大いに借りるが、Canvaなどを使い、センスのあるスタッフなら、それなりのクリエイティブを作ってくれるし、生成AIの助けを借りれば、アイデアは広がる。
かたやグループ会社でも実施しているコールセンター業界では、BPOという業種があり、事務代行的な業務で、ビジネス・プロセス・アウトソーシングの略称だと思う。このように英語の略語を開いてみると(※開くという言葉が気に入ったので使っている)、意味合いが見えてきたりする。これとは違い営業電話が中心のアウトバウンドセンターや我がグループ会社ではCRMセンターという言葉を意識して使っていたりする。
コールセンター業界では、顧客などからの電話などがかかってくる場所や状態のことをインバウンドと言い、その逆に発信する事をアウトバウンドという。旅行者の動きと同じ。
さて「販売代行業」とは
同じくEC通販業界でよく聞く言葉としては「運用代行」という言葉。例えば楽天市場やAmazonなどのショップやストアの運用を代行する、など。運用とは商品登録(これが意外と時間も手間もかかるし、とても重要)、その前の撮影やそもそもの商品スペックの確認などは物流サービス業で多い「ささげ業務」など。それから広告運用やクーポンやポイント設定やセール参加の有無とその内容など。
もちろん気の利いた人はPDCAを回すので、セット商品の提案で客単価アップを狙ったり、商品ジャンルやカテゴリーの登録の見直しや、キーワードを埋め込んだSEOなどやABテストの実施。中には外部サイトからの流入促進や在庫数の管理から生産数や仕入数のご提案などなど。
運用代行なので、広告代理業だけではなく、その範囲が広いし、店長を任せられるという状態か。その範囲は会社や人によってマチマチであり、売れる店とそうで無い店とは範疇や頻度も違う。広告代理との一番の違いは、なるべく広告費を下げていく努力をすると言うことかと思ったりする。
ただし、運用代行だと事務代行的に聞こえてしまう。これはこれで意味は大きく、特にスタッフが少ない中小零細企業や個人事業主などで複数モールや自社サイトやアナログ活動に力を入れている先には大いに助かると思う。
ここでやっと言葉にこだわり、「販売代行」とした方がしっくりと来る。イメージはホテルの運営代行のように。建物のオーナーと内部の運用は違う会社や組織が担う。おそらく業績連動のフィーが設定されているか、家賃をオーナーに払い、ホテル運営の利益は運営会社が自ら作り出す状態か。
このような関係になるとウィン-ウィンであると思われる。もちろん条件の交渉はそれぞれあるのだろうが、ブランド(ホテル名など)を借りて営業する様な状態。ただし、自社(運営側、ここからは販売代行か?)の利益だけを考えて、多くの方々に安売りで回しすぎると、ホテル名を棄損しかねないし、運営と言っても各社の代行業(旅行代理店や広告代理店や清掃会社など)を使っていると思う。
小売はほとんどが「販売代行」業?
さて、小売や流通業などは、メーカー直販以外は「販売代行業」ともいえる。自社生産やもちろん農家や漁業者などの一次生産品をそのまま、その方がエンドユーザーに販売されるなら、代行業は入らないが、問屋や商社や農協や漁協や道の駅的な小売店などに商品を卸したり、販売委託される先は販売代行業。仕入れるにしろ委託にしろ、物販やサービス商品でも同じのような構図は多い。
小売店も自社のPBなどの生産委託(OEMやODMなどの工場や生産者)されている場合が多いので、結局は販売代行。その逆で購入代行的な考え方もできる。自転車などで必要な物を買ってくるや、ネットスーパーで品種は顧客が選ぶが、実際の売り物はピックアップされる方が選定を代行している。
ますます広がる少子高齢化と働き手不足の社会で買い物難民や時間ロスの改善(タイパ)などからは購入代行業も増えると思う。B2Cだけではなく、B2Bでも。どちらもマッチングのサイトなどでプラットフォーム化している。人材紹介やM&Aや各種のサービス商品を探す場合。まぁ、Amazonが得意なリコメンド機能も途中までは購入代行というか、お勧めすべき商品の提案なのだが、そのIDに添った商品をどんどん的確に出してくる。
さぁ、ダラダラと書いてしまったので、「運用代行」ではなく「販売代行」と言葉を大切にしながら、販売主の利益の最大化と代行社の適正な利益を創出していくと考えると、広告費や物流費は下げていきたくなるし、客単価は上げたくなるし、顧客の定着と商品やサービスへの共感を得ながらリピーターやファン形成の努力をしていく。
そして商品を改善したり、新商品や新規ジャンルを考えたり、サービス開発さえしたくなる。
それで自社のECも頑張って伸ばすのだが、上記の想いを携えると、自社商品で事前テストを行い、販売主に還元したり、競合し合わない商品群であれば、販売主達の交流もとても良いメリットが出るような気がしてくる。
さぁ言葉に拘り、行動に繋げて、スタッフ達への理解も進めていく。
もう一つとても重要だと思うのは、常に買い手側の立場に立って思考と擬似体験も繰り返すことか!?
最後までお読みいただき、ありがとうございます!