EC通販での「顧客分析の方法」

 昨日の「顧客管理戦略」のポイントに続いて、集めた顧客に関する集計や分析方法について。
顧客管理用のデータをいくら集めても有効に分析できなくては宝の持ち腐れである。集めた顧客情報をどう分析するかを見てみよう。
分析法としては「RFM分析」「レスポンス率」「離脱率」などがあるが、単品ECでは、購入者の状況を正確に把握して、いかに継続購入を高めるかが重要になる。
そのため、各種の分析法の中で、「離脱率の低下」や「レスポンス率の向上」が重要になる。また、クレーム内容の分析や顧客満足度を測定するための「定期的なアンケート」の実施も必要である。

①RFM分析

 顧客データ分析で最も重要なのが、RFM分析(ファッション関連商品群の購入にはI:ITEMが付け加えられる)である。これは、購入者のなかから、有望な見込み客リストをセグメントして探し出す実施方法として最も多く活用されているEC通販の顧客分析法である。
R-RECENCY(最終購買日)
3年前に購入した顧客より1年前に購入した顧客のほうが、購買率が高いという考え方にもとづく。
F-FREQUENCY(累積購買回数)
1年に1回しか購入しない客より、4回購入した客の方が、今後の可能性が高いという考え方にもとづく。
M-MONEYTARY(累積購買金額)
一定の期間、例えば1年間の購入総額の多い方が、購買の可能性が高いという考え方にもとづく。
RFMの解説書ではこのRFMの3つのポイントをウエイト付けして、組み合せる。例えばR-5、F-3、M-2ポイントというように、経験則的にポイントのウエイト付けをするとある。
理論上は、優良顧客別のランクが設定され、そのランク別にアプローチの手法を変えるのだが、利用回数は少ないが購入金額が多いグループと利用回数は多いが金額が少ない顧客がいたとするとどちらが大切な顧客となるか?非常に判断に困る事態となる。教科書的なウエイト付けは現実の世界ではかなり難しいと考えるべきだ。
したがって運用法は、ポイント換算ウエイト付けでなく、購入回数と最終購買日の違いで区分したグループ分けを行い、それぞれの特徴に応じたプロモーションを実施することにするのが現実的だ。
当社では「単品EC」専用のRF分析からその顧客区分に応じた新規顧客用の90日プログラムや継続客の固定化プログラム、優良客優遇プログラム、そして休眠客の復活プログラムなどを作成している。

②レスポンス率分析

 媒体別の効果を分析するために、レスポンス率という手法を使う。
レスポンス率とは、その媒体に反応した数値を媒体の発行部数で割ったものである。例えば、新聞折込チラシを10万枚実施して、200人の資料請求があったとすると、レスポンス率は200人÷10万枚で0.2%となる。この数値の大小によって媒体別の効果が測定されるのである。

③CPO分析

 CPOとはコスト・パー・オーダーのことで、注文1件当たりにかかるコストを指す。たとえば、新聞折込チラシ10万枚で150万円の販売促進費がかかり、その販売促進活動で200件の注文が取れたとする。この場合のCPOは150万円÷200件で7,500円となる。
 
CPAとの計算方法の違いはかなり以前に書いた。

④CPI分析

 CPIとはコスト・パー・インベストメントの略で投資効率を見るのに使用する指数である。会社によってはMR(メディアレーション)という言葉を使う。これはCPOと異なり、広告コストに対して売上金額の比率を表記する。投下した媒体費に対してどれくらいの売上が確保できたのか?などの判断ができる。TV通販、低価格商品通販、ハウスリストのDMなど回収効率を高める必要がある展開の際に使用している。例えばフリーペーパーにて1枠広告を出したとし、15万円の広告費がかかり、その結果、単価5,000円の商品が20個売れ10万円の売上があったとする。この場合のCPIは、売上÷広告で0.67となる。AmazonでのROASと同じ。
売上と媒体費のバランスをつかむのに有効な分析となり、一般的にはCPIが1.0~1.2あれば効率のよい展開といえる。特にハウスリストのDM展開においてはどの顧客が効率がよいかを把握するために必要な分析方法である。厳密に投資効率を分析するのであれば、原価や受注費も係数に入れたいが、この場合はあくまで傾向を見るための指数ということで省略している。また利益の観点ではROI(Return On Investment)として「利益÷広告費×100%」で、CPIをROAS「Return On Advertising Spend」という言葉を使用する場合も増えている=前述のAmazonなど。ただしモールではROASが数倍というのは当たり前で、なぜからリピーターさんも指名検索などで広告経由が増えるから等。
もう一つACOS(広告経費率=広告費÷売上)で商品原価+手数料+広告費などで利益設定した場合に、ACOSなら一目でコントロールしやすいので、セール時期には重宝する。この場合は広告経由売上だけで見るのではなく、アカウント全体の売上で見た方が良く、なぜなら広告商品以外も売れている(だろう)から。

その他の分析は次回に続く。