EC通販での「顧客管理戦略」のポイント

今回はデータベースの構築 

  EC通販にとって大切なことは、新規に集めた顧客に対していかに効率的にリピート注文をとるかということである。一度購入した顧客が継続的に購入を推進することで、販売促進費を最小限にとどめることができるからだ。

新規顧客を獲得するのに、今や数万円のCPAとなる。もちろん5,000円以下での獲得事例は数多く見てきているが、仮に1万円の商品を販売し、販売促進費が5,000円かかったとする。その商品の商品原価が50%で、粗利益が50%とすると、粗利益が5,000円あるのに対して、販売促進費が5,000円のため、既に粗利益の段階でトントンになり、採算がとれなくなる。

 さて、この新規顧客が継続して購入すれば、販売促進費は少なくてすむ。つまり、2回目からの購入に対しては、同梱物やメールやLINE案内やカタログの送付だけで注文がとれるため、販売促進費はカタログ代や通信費だけですむ。1回目の購入と2回目の購入を合わせて考えると、販売促進費の負担は低くなり、利益を生むことが可能になるのである。

こうした分析方法をLTV(ライフタイムバリュー)分析とは、顧客1人当たりの獲得費用と、その後、顧客から得られる利益を顧客獲得方法別に分析することによって、どの獲得方法が最も優良顧客を獲得できたかを見分ける方法である。EC通販で利益を出すためには、顧客の年間のLTV(年間の総利益)が、年間の顧客獲得費(年間販売促進費)を超えないことが条件となる。こうして、優良顧客を判別することができるのである。

顧客データベースの必要項目

それには「どの顧客が」「いつ」「どの商品を」「どのくらい購入したか」という情報を正確に把握し、分析することが重要になる。これが、顧客管理である。EC通販がデータベース・マーケティングともいわれる所以である。データベースを有効に活用するためには、システムに的確なデータを登録する必要がある。といっても、何もかも登録すればいいというものではない。要は、いかに活用するかで、登録の内容が異なってくる。

まず着手するのはEC通販の注文の受付内容をそのまま入れられるようにすること。注文のデータが自由に取り出せれば、以後説明する分析はほぼすべて可能となる。
 次に顧客の情報として生年月日やプロフィールについての項目となる。さらにその上で、顧客別コミュニケーション履歴でクレームの内容、TELでの対話内容、DM送付などの履歴がほしくなる。一度に欲しいのは、やまやまだが使いこなしてから追加する方が良いと思う。またカートシステム等の種類によっては備考欄やメモ欄を多用する仕組みになっていて、分析時に取り出せないということも多いので、要確認したい。

登録項目としては次のような項目があげられる。

①最初の購入日(いつ購入したか、日付、内容、媒体など)

②購入商品(どんな商品を購入したか)

③支払方法(どんな方法で支払ったか)

④媒体ソース(どんな媒体を通じて購入したか)

⑤受注金額記録(媒体別、時期別に記録する)

⑥購入履歴(他にどういう商品を買ったかの経歴)

⑦媒体送付記録(その顧客にどんな媒体を送付したか)

⑧レスポンス記録(どんな反応があったか、媒体別に記録する)

重複するが、顧客のプロフィールは別にもちろん必要ではあるので、誤解のないように。顧客データベースと商品データベース、注文履歴などは別のデータベースであるという認識も必要。

次回はその分析方法に進みたいと思う。