EC通販の「事業計画作成」について

単品ECハンドブックの2023年版をkindleでAmazonに追加しました。

2023年度版「単品EC ハンドブック」: 単品ECで勝ち残れ! 単品ECで勝ち残れ!「単品EC ハンドブック」www.amazon.co.jp

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このブログでも1年以上かかり、旧原稿の見直しを行ってきましたが、その最終に差し掛かりました。ゆっくり読んでいただける方は上記Amazonからどうぞ。

(1)事業計画のつくり方と経営指標

①事業計画のつくり方

 事業計画はEC通販をスタートするために必要なものである。その内容としては、次のようなものがあげられる。

○事業コンセプトの樹立

 事業環境の分析から「事業理念と事業目的」までをまとめる。事業環境としては、経済動向、社会動向、消費者動向、通信販売動向、商品の競合分析などを行う。現在ではアフターコロナの状況や少子高齢化の対応、SNS隆盛の中、P2C(インフルエンサーのライフスタイルなどを中心に「人」を中心に考えるEC)などトレンドも意識する。また店頭回帰という雰囲気からはチャネルを増やすこと等も必要と考える。
 本業がある場合はその事業とEC通販事業の差別化(商品や流通やターゲットなど、いわゆるマーケティング上の4Pを整理して特徴を設計)しておくことが重要。

○収益計画の作成

 売上げ目標、経費目標、収益目標の設定。 出来れば3カ年~5カ年計画で、拡大パターンだけではなく、小規模での継続パターンや社内共通の撤退基準も意外と重要。事業を立ち上げるフェーズなので熱意は必要であるが、計画は冷静に上記の3パターン「拡大・継続・撤退」と用意したい。

○細部計画の作成

 次に資金計画、人員計画、設備投資計画、在庫・商品管理計画、評価システム計画など。収益計画の3パターンに沿って細部を考えていくと、

・資金繰り⇔人員計画⇔設備計画などがリンクして、社内外のリソース活用とその順番などまで想いを巡らせる。

○各種戦略の策定

 商品戦略、顧客戦略、販売促進戦略、フルフィルメント戦略、顧客管理戦略、表現戦略等を実行できるのか?そのスケジュールは?と問いかけながら。もちろん「商品(強みが明快か?、それは広告に耐えうるのか?)」か「顧客(が既にいるのか?)」がポイントと気づくはず。この2つが想定できると「どのような販促をして、どれぐらいの数量をフルフィルで行い、新規/継続客の管理は?」。表現戦略はDTCなら世界観の演出やクリエイティブ規定などが派生してくる。
 画期的な商品ができたとしても、それはEC通販で広告ができるのか?ましてや、その特徴はサイト上で遵法の表現はできるのか?検索サイトでの規制はかかっていないのか?などは基本的な確認事項であり、商品デビューの前に資料請求方式でドライテストを行うなども、とても参考にはなる。

②収益計画のつくり方

具体的な収益計画のつくり方についてまとめてみた。収益計画に必要な数値は下記のとおり。

○売上高

 年間売上高は大まかに新規とリピーターで分ける。
・初回購入売上=初回客単価×初回購入者数

・リピート購入=リピート客単価×リピート客購入数(離脱率を考慮)×リピート客の年間購入回数。
さらに細かく言うとセール時の価格や受注中ではあるが未出荷分や返品想定や自社ポイントの制度がある場合(経理基準により変化するが)はそういう事も考慮しておく。

○商品原価

 商品原価(生産、仕入れなどの直接原価)。ロット数による変化なども考慮しておく。もちろん生産に必要な期間。新規でOEM生産を依頼する場合には資金計画にもよるが、無理をせず小ロットで生産してくれる依頼先を探すことも重要で、かつ依頼からは3か月、機能性表示や医薬部外品は早くて半年、新規の場合は1年以上はかかるので、商品の投入順番や改善項目(容量や成分変更など)も。
 OEM会社を選ぶ際はその企業の強みを確認する事。メインの生産品に近いものなら安心できるが、そうでないケースも意外と多い。特にサプリメントの形状や化粧品のアイテムによって機械や生産ラインも異なるので、相手が許してくれるなら工場視察も行いたい。

○諸経費

 諸経費に関しては、「販売促進費」「配送費」「通信費」「コンピユータ費」「人件費」「事務所経費他」という項目を設定する。システムに関しても、また設備に関しても減価償却の項目なのか。さらには商品研究開発やブランドCMやコンサルティング費用など他部門や本部と共用もしくは分割負担が出来ないか、なども考える。

○利益

利益=売上高-商品原価+諸経費

また、これらの事業計画作成には、いくつかの条件が必要になる。

○初回客とリピート客の売上げの設定

 最初に購入する顧客の客単価と購入者数を設定する。リピート購入客単価とリピート購入回数、リピート購入数を設定する。

・リピート購入客単価:再購入する際は、その単価が高くなることが考えられる。

・リピート購入回数:リピート購入するまでの期間を想定して算出する。

・リピート購入数-離脱率を推定して算出する。

○利用媒体とその効果(レスポンス率)

ECだけなのか、コンタクトセンターも必ず必要なアナログメディアの新聞なども利用するか、雑誌を利用するか、利用する媒体によってレスポンス率が異なるし、スタッフ数も異なる。

リストを使ってカタログを送付する場合、ハウスリストの有無がレスポンス率を大きく左右する。

●経費項目

A 販売促進費=初年度はリストづくりのため、かなり費用がかかる。
  上手く行くとしても年間売上と同等ぐらいは必要と思い、結局は販促費(主に新規獲得のための広告費)が重要ポイントとなってくる。

B 配送費=どれだけ配送費を顧客に負担させるかで費用が異なる。特に近年では物流関連費用によっては利益計画が大きく変わるので、数種類を検討したい。

C 通信費=電話の問い合わせ、フリーダイヤルなどの諸経費は、「遠距離通販」の場合や「商品説明がいるもの」「高齢者対象」の場合には電話代がかさむ。

D コンピュータ費=受注・入金・発送管理・顧客分析などにかかる費用

E 人件費=通信販売にかかわる人の人件費

F 事務所経費他=事務所経費他の諸経費

そしてアナログとデジタル比率も気をつけたい。私の経験上では、オペレーションコストが5倍や10倍ぐらい変わるケースも見てきている。もちろんデジタル入り口だからと言って、電話対応しないわけにはいかない。何より顧客の生の声を拾える。

ざっと書いてみたが、詳しくは弊社の「単品ECハンドブック」で。

単品ECで勝ち残れ!「単品EC ハンドブック」 A4タテ 113ページ 3刷 大型判www.amazon.co.jp

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EC通販の新規参入や再チャレンジでKPIをどういう数値を設定すべきか?という基本的なご質問がまだまだ弊社には寄せられているので、次回のその辺りを書きたい。