単品ECの「表現戦略」のポイント

世間はすっかりクリスマスモードですが、こういう時は弊社のメンズコスメでさえ、ターゲッティングも異性を重視します。嬉しいのは2個セットでパートナーと使います!というレビュー(^▽^)/

さて、前回の「ターゲット志向編」に続いて、表現のお話。

目次

  1. (1)広告は売り場であることを認識することが基本
  2. (2)表現戦略を支える理論
  3. (3)意欲をそそるテクニック

(1)広告は売り場であることを認識することが基本

 EC通販を支えているダイレクトマーケティングの手法でクリエイティブは商品・オーディエンス(情報の受け手)と並び三大要素となっている。あくまで商品・オーディエンスをしっかりつかんでいる前提であればクリエイティブを変えることでレスポンスは激変する。直接的に収益に直結するのでこだわりも大切だが、まずやるべきことに注力した上で慎重にテストを繰り返していただきたい。
 ここ数年のSNS隆盛では「売り場」と言っても、ショーケース(公式アカウント)やコミュニティー重視のコーナー(情報アカウント)など。また他社情報も含める場合もある、広くギャザリング/いわゆるUGC(User Generated Contents)が重視されてきているので、バナー広告や単純なレスポンス広告に留まらないようになってきた。

(2)表現戦略を支える理論

 ただし、顧客や見込み客の心の動きを読んだり、態度変容については過去から多く用いられてきた伝統ある考え方も抑えておきたい。

○例えば、AIDAの法則

広告の世界では効果的な広告を作るためにAIDMA(アイドマ)の法則という言葉がある。アテンション=注意を引く、インタレスト=興味を持ってもらう、ディザイア=欲しくさせる、アクション=注文行動をとるという4つの心理を引き出すことが基本となる。通常の広告はAIDMAといわれ、M=メモライズ=記憶させるというものが入るのだが、レスポンス広告は記憶してもらうのでなく注文行動を即引き起こすということが目的になっていなければいけない。

1つだけ絶対実行するとレスポンスアップするのは、アクションコピーを入れることだ。これは、その広告の目的を直接的に表している文章。資料を今すぐ請求してください。今すぐお電話を。「ご注文は今すぐ料金無料のフリーダイヤルで!!」「このチャットから、どうぞ!」などの文章やWEB接客である。遠慮がちにこの言葉を入れてしまうと、広告を見た人は何をすればよいのか分からず、記憶にとどめる普通の広告になってしまう。注意!!

そして電通グループが提唱してきたAISASのシェアの文化なども十分、定着した。

○その他、ドラマタイズ

 商品やサービスを魅力的な演出で思わず買わせてしまう手法。お客様の満足度も高い。成功企業の多くが共通してドラマチックなストーリーを持っている。表現のアイデアはまだまだいくらでもある。

(3)意欲をそそるテクニック

 EC通販の場合、販売主体の名称や商品の名称が、EC通販を成功させる大きな要因になる。知名度の高い、有名な会社がEC通販を実施する場合は、会社の信頼性が高く、名称についてはとくに問題ない。

しかし、知名度が低く消費者に知られていない会社がEC通販を実施する場合は、商品の名称が重要になってくる。その商品にふさわしい名称がついていれば、それだけで安心感を植え付けることができるものなのである。
更に商品名がグーグルやAmazon内でインデックスされているのか?などを考えると、とても重要。また、サイトやモールに適した商品名を考える工夫も必要で、楽天とYahoo!とAmazon、更に自社サイトでは微妙に商品名を変えている事例なども目にする。

そして、大切になってくるのが表現戦略である。小売店でもただ単に商品を並べるだけでは売れないように、EC通販には効果的な表現方法がある。そのノウハウをいかして、広告づくり、サイトやカタログの紙面づくりを実施する。以下に、EC通販の表現戦略のテクニックを探っていく。

①生活シーン・生活提案を表現とする

商品は「生活シーンの中で見せること」が大事である。生活シーンとは、その「商品を使った豊かな生活を顧客に提案すること」である。商品コンセプトにあった生活シーンを表現しなくてはならない。

たとえば、「生命保険で表現すること」は保険証書を大きく見せることではない。生命保険のコンセプトである「保険があることで豊かな生活ができること」をいかに表現するかである。したがって、家族の安心感がテーマとなり、自然と広告も「家族愛」をテーマにしたものになる。
またAmazonのブランド広告で良く目にする「ライススタイル写真」。要は商品の良い使用シーン。いわゆるシズル感があるとか。

また、販売対象に合った表現も必要である。とくに高齢者向けの広告表現では、高齢者の生活特徴をよく理解していないと失敗する。高齢者の生活特徴として、次のようなものがあげられる。

○老眼で小さいものが見づらい→活字を大きくする。

○パステルカラーは認識しづらい→分かりやす彩色に。

○老人ということばを嫌う→コピー文案の使い方に注意する。

○収入を年金にたよる人が多い→支払い方法を考える。

 隔月(偶数月)や分割払い、3ヵ月おきの支払い等配慮する。

○朝早く、夜も早い→メディアの使い方で検討する。

○トイレが近い、段差がきつい→商品企画で生かす。

○頑固、理解するのに時間がかかる→時には電話でしっかりとご説明する。

このように、表現だけでなく、メディアの使い方や商品計画なども、高齢者の生活シーンを考慮することが肝心である。

長くなってきたので、次回「ビジュアル・マーチャンダイジングの発想」に続く。