「単品EC」®のターゲット志向編

前回の、「単品EC戦略のポイントと手法の変化」。 その次は、
マーケティングの重要項目「4P」や「3C」で重なるターゲットとは?

(1)ターゲットを明確に絞る

 優良顧客(予備軍も)に自社サイトを訪問していただき、サイトに関心を持ってもらい最終的に購買に結びつけるにはターゲットを明確にする必要がある。
インターネットはさまざまな人が閲覧するので、ターゲットを絞る必要はないと考える人はいるが、それは間違いである。先にも述べたがターゲットを明確にしないと本来獲得したい優良顧客が「自分には関係のないサイト」として数秒のうちに他のサイトへ飛んでいってしまう可能性が高い。ターゲットを絞ることによって、獲得したい優良顧客に関心を持ってもらう必要がある。更に購入予備軍を引き寄せる必要もある。「〇〇とは?」検索の方々では無いというか・・・。
 ターゲットを明確にするためにはペルソナなどの手法があるが、身近にいるひとりの人をターゲットと決めるのも良い。サイト、コンテンツ、商品構成、メルマガのどれをとってもその人が関心を持ちそうな内容にするという方法もある。

(2)顧客との関係を維持・強化する

①認知的不協和の払拭

 到着確認メールの送信、到着確認の電話をすることにより、認知的不協和を払拭する。その内容は「無事に荷物は届きましたか?」と聞いてお礼を述べるだけだが、同時に万が一顧客の気に入らないことがあれば、その場で確認しフォローできるという長所がある。買うつもりで無かったとか、思っていた商品やサービスでは無かったとか、使い方が分からないなど。

※認知的不協和とは・・・(私は喫煙者だ、の正当化と呼んでいる、汗)

認知的不協和 – Wikipediaja.wikipedia.org

②電話応対

 電話対応は訓練されたオペレーターでなくても、商品生産や倉庫で作業をしている商品のことを熟知したスタッフが電話をとっても良い
また、主要な顧客に合わせた年代層に近い年齢の方が電話を取ることで顧客と近い立場で会話ができるのも良い。特に会社のある地域の主婦などが電話を取る場合、訓練されていないため顧客との会話の中で方言などが出ることで顧客の親近感を招くこともある。地方の通販で良くあるのは、その土地のご出身者が優良顧客である、ということ。当たり前と言えば、当たり前だが、購入者も販売者も会話や気持が通じて、正に「応対」に変わる事例とも言える。

 なので、「対応」から「応対」へ。CRMのポイントとも言える心掛け。
やはり「単品EC」®とは「おもてなし」。

※「単品EC」は弊社グループ会社「株式会社ダイレクトマーケティンググループ」の商標です。「単品通販」も同様です。

③ライバルとの徹底比較

 想定される競合他社の動向は、徹底してチェックする。チェックする項目は、商品や売り方はもちろんだが、優良顧客を他社に奪われないために顧客の満足度を軸にして考えないといけない。
注文時のEメールの文面、電話での対応、梱包の仕方、同梱されているツール、どのような箱で届けられているのか、購入後のフォローの仕方…。
これらにおいて他社を上回ることによって、優良顧客が他社に流れない、またはいったん他社で購入されたとしても再び戻ってくるようにしなければならない。そのためにはターゲットを明確にし、その人々が満足するサービス水準を確保するべきだ。 
 最後に効率化と引き換えに顧客への「愛」を失わないようにしなければならない。規模が大きくなるにつれて顧客への対応がマニュアル化されシステム化される。規模が小さいうちは顧客の名前、好み、それまでのやり取りなど記憶できる範囲で対応でき、よく買っていただける顧客には「おまけ」を付けるなど担当者レベルの判断ができ顧客の自社に対するロイヤリティを肌で感じられる。
 しかし、マニュアル化された対応はそれまでの顧客がどう思うのかを考えなければならない。優良顧客を獲得し、関係を維持・強化するには顧客が自社に何を求めているのか、商品以外のベネフィットを把握する必要がある。マニュアル化、システム化によりコチラの都合を押し付けるようなことは決して良いとは言えない。

(3)単品ECの手法の変化

 自社サイトにしろ、モールにしろ、以前は店長からのEメールやブログ更新などプッシュ型が主流で、また今でも「セール企画」は毎日のようにEメールが届く。これでは自ずと価格競争を仕掛けているようで、小規模の単品EC企業はたまったものではない。安くて早いAmazon一強を助けているようなものである。ただし、無名ブランドの初期段階で顧客を探すのに役立つのもAmazonの良さではあるが・・・。
 そこで近年は情報サイトとしてオウンドメディアの充実、SNSとの連携などプル型のデジタルマーケティングが主軸になってきている。さらには生活者が投稿してくれるInstagramやYouTubeなども。確かにユーザーレビューも重要であり、UGC(User Generated Content)と言われる手法も有効で、しかしながら、それ以上に販売者がプロである証を積み上げていく。アナログメディアでは保存性が低いが、デジタルはコンテンツという資産を積んでいく努力が必要である。
 また出店料無料のモールや極端な初回オファーでインフルエンサーやアフィリエイターに取り上げられても、継続につながらないどころか、CtoCや中古品サイトに転売されてしまってはブランディング上も得をしない。

さて、ターゲットの次はその方々に響く「表現」~クリエイティブを次回は取り上げみたい。

弊社のターゲットの把握は、例えばレビューの確認など