「単品EC戦略」のポイントと手法の変化

(1)EC通販におけるインターネットの状況

 この話題は書くたびに変わるので。原稿を書いたのは2021年春頃・・・
さて、インターネットの進展にともない通販業界においても、ITバブルが起こった1990年代後半ではECをやっていれば注目された時代だったがインターネット利用者が増えるとともに、ECを利用して買い物をする人が増え市場が急速に拡大した。
その後、参入障壁が低いこともありECに参入する企業が増えたことで、どのような商材を扱っていたとしても競合店がひしめき合う戦国時代となり消費者も取捨選択できる時代となった。
こうした経緯を経て各EC企業は、広告等で販売促進をする時代へと変遷してきた。
これは終戦後、高度経済成長期における、物を作れば売れたマスマーケティングの時代に市場が成熟し、限られた市場の中でシェアの拡大を図る、ターゲット・マーケティングの時代へと変遷したことに似ている。また、現在は数年前に比べると、インターネット広告の効果も薄れてきたことからECにおいても既にCRMの時代に入っている。
 インターネットの世界は、マスマーケティング→ターゲット・マーケティング→CRMと、数十年かかって変遷してきた時代の流れを、たった数年で変えてきた。それほどインターネットは環境変化のスピードが速い。
今まで時代の波に乗り、売上を拡大してきたECも参入障壁が低いことから、競合他社の参入が急増し、数年前ほど右肩上がりの時代ではなくなってきた。このことはどのような商材をもっているECにも共通することである。そして現在では参入したとしても競合がひしめきあい、限られたパイを奪い合う戦国時代となっている。そんな中、どのような方法で売上を維持・拡大するのかが課題であり、今後のEC通販は優良な顧客を獲得し、その顧客との関係性を維持・強化することによって、売上・利益を確保することが至上命題である。
 さらには東アジアを中心とした越境EC(もちろん現地ECを含めて)への進出も重要で、環境変化のスピードが速いインターネットの世界だからこそ、優良顧客との関係強化による、リピート顧客の売上・利益の確保が重要と言える。

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(2)優良顧客はどこからやってくるのか

  顧客との関係性を維持、強化していくには「新規顧客」獲得の段階で、優良な顧客を獲得しておかねければならない。優良な顧客とはいうまでもなく、今後、関係を強化することにより利益をもたらしてくれる顧客である。優良な顧客を獲得するためには、将来優良なリピーターとなりえる顧客が一体どのような経路で自店のサイトに訪れるのかを知っておく必要がある。
SEO対策、PPC広告などの広告、アフィリエイト経由、ショッピングモール、オークション、懸賞、SNS、動画サイトなど来店のきっかけは様々である。こうした来店のきっかけとなるものの中でも最も優良なリピーターとなりえる顧客がやってくる経路に網をはることが必要だ。
 たとえば、商品が「納豆」のように衝動買いなどが考えにくいマイナーな商品の場合、検索エンジンで「納豆」と入力し検索するお客様が将来優良なリピーターとなりえる。なぜなら「納豆」と検索窓に入力するのは、「納豆」に対して関心、興味が少なからずあると考えられるからだ。
たとえば、楽天市場やYahoo!ショッピングなどのショッピングモールに出店して、バナー広告を出稿したとする。もちろん、梅干や明太子、スイーツなど他の食品と並んでバナーが貼られる。そんな中、「納豆」のバナーをクリックする人は少ない。なぜなら「納豆」は梅干や明太子、スイーツなどと比べて、市場が小さいからだ。つまり同じ広告費をかけても、「納豆」のバナー広告はコスト面で合わないこともあるが、何気なく「納豆」のバナーをクリックする人よりも、検索エンジンで「納豆」と検索する人のほうが、「納豆」に対して関心が高いことは明らかである。よって「納豆」の場合は、SEO対策、PPC(PayPerClick)広告が優良顧客獲得の窓口と言える。
ネットショップの場合、独自ドメイン店舗、またはモール出店店舗の大きく2つの参入方法がある。独自ドメイン店舗の場合、集客はヤフーやグーグルなど検索エンジンのSEO対策、PPC広告、アフィリエイト広告などが主にあげられる。ただし単品ECの場合であればAmazonなら戦い方もある。
 かたや独自ドメイン店舗はモールと違い、顧客リストを使って郵送でDMを発送できるなど自由度が高い。その反面、露出度が低く結果が出るまでに時間がかかる。一方、モール出店の場合、楽天市場やYahoo!ショッピングなどのショッピングモールは、そこを訪れる消費者が購買意欲を持っていることから、ノンブランドの商品などは売りやすい環境となっている。またネットショップ店長の教育システムも充実しモール独自のマーケティング手法も仕組みとしてある程度は確立されていることから、初心者のネットショップ店長でも用意に参入できるようになっている。
ただ、デメリットとして、

①従量課金である。
②価格競争が激しい、
③顧客リストを自由に使えない場合が多い、
④モール内での露出度を高めるための広告投資、

などがあげられる。
 独自ドメイン店舗がいいのか、モール出店店舗がいいのか、そして独自ドメイン店舗ならSEO対策がいいのか、PPC広告がいいのかなど、自社の優良顧客がインターネットのいったいどこからやってくるのかを考えその場所に網を張り、優良顧客を獲得していく方法を考える必要がある。
 こうして、獲得したお客様との関係を維持、強化するには自店に対するロイヤリティを醸成する必要があります。お客様に自店に対するロイヤリティを高めていただくためには、まずお客様がどのような情報を欲しているのか、どのような商品を欲しているのか、どのようなサービスを欲しているのかなどを綿密にリサーチし、サイトのコンセプトを明確にし、ターゲットを明確に絞っておく必要がある。

(3)サイトのコンセプトを明確に

  自社のサイトに優良顧客がやってきたとしても、その顧客が自社のサイトに興味を持たなければ意味がない。ネットショップの場合、ページビュー(PV)×コンバージョンレート(転換率)×平均客単価=売上となるので、せっかく優良顧客獲得のための網を張って、ページビューを上げたとしても、コンバージョンレートが0%だと売上は0円となる。コンバージョンレートを上げるためには、やってきた顧客に自社のサイトに関心を持ってもらうことが前提である。
 自社のサイトに関心を持ってもらうには、まずはそのサイトが何なのか、数秒のうちにわかってもらう必要がある。
たとえば「納豆」の場合、「納豆」と検索して顧客がやってくる。「納豆」を買いたい、または調べたいという意思を持っていることから、自社のサイトを開いた瞬間、「納豆を売っているサイト」または「納豆について情報が載っているサイト」とわかってもらわなければならない。
次に「自分に関係する」と同時にわかってもらう必要がある。高級納豆のように「こだわり商品を少々高価であっても買いたい」という顧客がターゲットの場合、まず「納豆」に関するサイトであること、「納豆」に対するこだわりを持っていること、「納豆」に関する品揃えが豊富であることがファーストビューでわかるようになっていることが必要だ。さらに、こだわり商品を買いたい顧客に「自分に関係する」と思ってもらえるように工夫する必要があり、そのため、「送料無料」や「キャンペーン」など、お得感をアピールする表現は控えたほうが良い。なぜなら値段・送料などに関係なく、こだわり商品を買いたい顧客がターゲットならば、「送料無料」や「キャンペーン」というようなキーワードに飛びつく人々が優良顧客とはならないからだ。逆に「送料無料」や「キャンペーン」などで顧客を引き付けたい場合は、ファーストビューでお得感を表現するべきである。

自社ブログも書くので、続きは次回「ターゲット」編へ。
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