ビジュアル・マーチャンダイジングの発想を生かす

前回の『単品ECの「表現戦略」のポイント』の続き。
昨年発行した「単品EC」本の改訂版を執筆しているので、投稿スピードを上げて、その横で改訂をしております。

昨年の本はこちら「↓」

単品ECで勝ち残れ!「単品EC ハンドブック」 A4タテ 113ページ 3刷 大型判 単行本
(ソフトカバー) – 2021/7/14


目次

  1. ビジュアル・マーチャンダイジング
  2. 写真による購入意欲の向上を図る
  3. コピー表現の工夫をする

ビジュアル・マーチャンダイジング

 
 さて、小売りの現場では購入意欲をそそるようなビジュアルに訴える売り場づくり、「ビジュアル・マーチャンダイジング」が重要になっている。
EC通販のサイトや紙面構成にも、その発想を生かしたい。具体的には以下のようなことに注意したい。

○全体の流れと、各ページのくくりのバランス
 テーマに合った商品をそろえ、ページ全体でイメージづくりをする。各ページにはテーマに合わないものは入れない。

○視線の流れを生かしたレイアウトづくり
 売りたい商品を目立たせ、視線の流れにそってレイアウトを行う。
PCなら縦型であるが、スマートフォンは横にスワイプさせる構成などもある。

○色彩の使い方
 高額・高級品、および高齢者向けの商品は中間色や寒色を使い、逆に、大衆品、低額品、低年齢層向けの商品、およびバーゲン品の場合は暖色を増やす。

○バナー広告とのファーストイメージの統一
 広告から遷移してきた時に、ファーストインプレッションで統一感があること。よくABテスト後の勝ち残り広告とサイトやLPのトップ画面に違和感が残っていたりもするので、サイトやLPの出し分けやメインの導線なども定期的にチェックが必要。特にターゲットテスト後は要注意。

○ECならではの商品セット
 
実際のリアル売り場では飾りつけに使われる小道具たちもEC通販なら販売可能なことも多い。

写真による購入意欲の向上を図る

○写真点数の基本
 単品ECでは通常、サイトやカタログ1ページに3~4点程度/1商品とする。高額・高級品、および高齢者向けの商品はページ当たりの商品点数を減らし、逆に、大衆品・低額品や低年齢層向けの商品の場合は商品点数を増やす。またLPの場合はそのページでストーリーを語るために特にスマホサイトで適正な点数としたい。多ければ良いというものではないが、たまにAmazonなどでメイン写真だけというページを見かけるので、これはさすがにもったいない。ぜひスマホで購入者目線で再確認したい。

○大きさを表現する工夫
 小さい商品の場合、切り抜き写真では大きさがわからず、誤解を招く。そのため商品の近くに大きさを比較する人やモノを配置する。小さいものの場合、「ペン」「スマホ」や「手足など体の一部」などを配置。ダイヤモンドなどの貴金属の場合、あまり大きく写すとアナログ媒体では誤解を招くので注意を要する。

○商品の全体や大切な部分を表現
 EC通販の場合、商品を手にとって見られない。そのため、商品説明で重要な部分に当たる「細部」の拡大写真や「後部」「横部」「内部」などを撮影して補足する。360度写真や動画の活用も検討したい。

○感触、使用実感の創出
 EC通販独特の撮影方法をするものに「布団」「靴」がある。「布団」では、あったかさや厚みを出す工夫が、「靴」ではヒールの状況を出すため撮影に工夫がされる。使用している状況写真による使用実感を出すことも大切である。食品の場合はタイムプラスでのレシピなどの動画や食べる人の目線なども大切にしたい。かたや、アナログ併用ならアパレルの場合は「生地のサンプル」を添付する方法で実感を味わってもらう事もできる。

コピー表現の工夫をする

○必要にして十分なコピー文案とする
 EC通販にとって、コピーはセールストークである。「長すぎない量で必要なことを言い切る」文章力が必要である。商品にまつわる「いわれ」や「特徴」など、その商品の付加価値を示す文章は、明確に表現する。

○「無料」「簡単」「限定」「安い」など購入意欲をそそるコピーを使う
 文中に、購入意欲をそそる「無料」「簡単」「限定」「安い」「便利」「買い得」などの表現を使う。
 
○数字を使う
 いわゆるナンバー1表現や〇〇%の方が満足やリピーターに、そして〇〇万本出荷などの事実関連を数字で表現するとアイキャッチにもなる。単純で強力な表現は人も目に止まりやすい。

○「追伸」で重要部分を要約する
 ダイレクトメールやご挨拶文の場合は「追伸」の使い方も大切である。最後に、セールスポイントをまとめて訴求する。一番言いたいことをここに集約し、アクションコピー風で念押しするなど。これはサイトで言えば、カート直前や一度カートに入れた後のアップセルのコピーでも同じ。
 ただし、eメールの場合は、やはりタイトル!またLINEなどでは「友人風の語りかけ」など、ツールやチャネルなどの特性も気を付けたい。

○権威性を借りる
 
自社に専門家や資格者がいれば、それはそれで良いのでるが、合法範囲内で医師や薬剤師や管理栄養士や美容師などなどの専門家に登場願う。

最後に、私自身が大切にしているのは、少し違和感を残す、ということ。上述と矛盾することは承知の上で書くと、あえて誤字を入れる、少し外したサブ写真を入れる。あまり細かいとヒートマップなどで効果測定もしづらいのですが、これはあくまでも個人の趣味(大阪人なので、つい笑いを入れたくなる性分)かもしれませんが。