EC通販事業の可能性診断

単品ECを事業として実施する場合、事業投資をする前に、ビジネスとしての可能性を診断してからはじめるべきである。多額の新規事業への投資を考えれば、事前の可能性診断は、多少の費用をかけてもしっかりと実施すべきである。EC通販の可能性を診断する際のポイントとなるのは、以下にあげた部分である。

(1)EC通販する単品商品に競争力があるかどうか?

 単品ECに適した魅力ある商品(オリジナリティや継続購入性など)があるかどうかを、商品の市場性、将来性、商品の供給力(生産能力、仕入れ調達力)、競合商品の動向などから診断する。
もちろん売り場を想定して、例えばネットモールならライバル品との差別的優位性が価格や品質や広告できるUSPが分かりやすいのか?もちろん、セール時期にも利益が確保できる原価/売価設定が出来るのか?

事業構造については、コチラ。

(2)EC通販ビジネスとして、適正な利益が出せるかどうか

 上記に以前のNOTEにも書いていますが、商品原価率を30%(最高でも50%)に抑えることができるか、本展開時にも可能か。開始当初は割高でもある程度の規模ができれば達成できるのであれば実行できる。健康食品や化粧品なら15%~20%程度に設定すべきである。この場合は客単価が定期コースの平均単価に近くなるので、その15~20%という設計が必要であるし、2ステップ販売の場合は初回のオファー(値引きなど)も考慮して設計すべきである。
ロットが増えた時に原価がどれぐらい下がるのか?化粧品やサプリメントの場合は数倍の生産数ではさほど下がらないケースも多く、生産設備(釜など)でどの大きさを一度に使えるか?や資材や容器の経済ロットに関わる部分もあるので、生産数が10倍以上でないと魅力的にならない、という場合もある。

(3)単品ECの財産である顧客を確保できるかどうか?

 単品ECの財産は第一に「商品」、第二に「顧客」である。その大切な財産の1つである顧客を確保できるかどうか。また、確保する手法が見えているか。ただし、最近は顧客が初めに選ぶ売場(モールや自社サイトやアナログDMなど)を決めている傾向も伺え、モールはビッグセール時にまとめ買い(=まとめ売りの姿勢)もあるので、無理の無い範囲でチャネル(顧客接点)を増やしておくことも重要になっている。

(4)新規事業へ「人材」や「資金」が投下できるか? 

 「単品ECがビジネスとして、収益が出て採算にのるまでに、少なくとも3年はかかる」ことを理解し、人・モノ・金の投資と情報のアップデートができるかどうか。特に、新規事業に優秀な人材が投入できるかどうか。初年度はリピート客が少なく、配下(店販)ビジネスのように一気に拡大するということは無理で顧客数=売上、リピート客数=利益と捉えて、いくら上手くいっても投資額(主に広告費)=売上額になっていれば、成功は近いともいえる。

次回は人材・組織の構築に触れるが、そういう事に関するセミナーも7月には実施するので、興味のあるマネージャーや経営者はコチラもご参考に。