ドメスティックECという考え方

EC通販の一つに「産地直送品」がある。地域の名産品を都会などの消費地にEC通販で売る、という考え方。地域の名産品なので、その土地の雇用も増やせるし、都会からの観光客も見込める。巣ごもり需要が一段落したであろう今月はこちらの考え方を整理しておく。

1:産地直送品の代表例

 まず思い浮かぶのは博多名物「明太子」。中でもその始祖となるのは
「ふくや」さん。私は何度も工場見学などに行っているが、明太子の作り方そのものだけではなく、魚卵の仕入れルートさえ他社に開示して博多の名物にしてきた、という話には驚かされる。

辛子明太子[めんたいこ]の通販 | 味の明太子ふくや明太子の通販なら創業メーカーふくやにお任せください。明太子の販売はもちろん、パスタ用のソースやラーメンなどの九州博多の名産www.fukuya.com

少し観点を変えると、農産物としての名産品として紀州(和歌山)みなべの南高梅や丹波(兵庫)の黒豆や水戸(茨城)の納豆など。また最近では瀬戸内のオリーブやレモンも。
そのような中で特筆すべきは高知の馬路村。柚子(ゆず)の名産地で有名になっているが、通販を仕切るのは農協。農協は一時代前までは通販の対局に合った買い上げの仕組みだったのが、農協自らが工場を作り、コールセンターも開設して、カタログ販売を手掛け、農家は安定して柚子を買い取ってもらい、村民の若い人達(若手だけではない)は職場が広がる。

ゆず 馬路村農協【公式通販】www.yuzu.or.jp

このスタイルを参考にした「産直品」は多いのではないか?
そして、観光客だけではなく各地の行政や団体が高知の山奥まで視察に年1万人が訪れる、とある。
コロナ禍で旅行や観光そのものが制限されて、行きたいけど行きづらいので、通販でお取り寄せ。

2:地域一丸となって商品開発&EC通販

 先日のGWも馬路村や青森の海岸線などを旅していて、ふと思ったのは。
馬路村は農協が窓口になって、言わば1社独占的に。明太子は地域の多くの会社や飲食店や商店が個々に(個性的な)モノを作り、売る。南高梅も多くの生産者&販売者(まさにDTC)が多く存在する。
後者は自然発生的に増えてきたように思うのであるが、ドメスティックECとは、それを仕掛けていくという考え方。村おこしや町おこしをECで!。
最近、目についたのは「NFT&DAO」として新潟県(旧)山古志村の住民会議。名産品の「錦鯉」をデジタルアートにして村おこし。デジタル村民という他地域の人も巻き込む動き。

新潟県・旧山古志村「集落存亡」をかけた挑戦——NFTで財源確保、デジタル村民総選挙人口わずか800人という限界集落が、「ふるさと」の生き残りをかけて取り組んでいる挑戦に、注目が集まっています。デジタルアーwww.businessinsider.jp

まるで現政権が提唱する「WEB3.0とNFTによる’成長と分配’戦略」やデジタル田園(都市)構想の見本のような取組。

3.今後の実践可能性

 今までのことを整理していくと、中心となる数人や数社が「名物づくり(リ・ブランディング含む)」をデジタルやメタバースなど利用して、仮想組織を作り、都会から来てもらわなくても参画できる仕組みやコミュニティーを作る。ふるさと納税のようにプラットフォーマーが儲かる仕組みと言うより参画する人や企業がシェアできるモデル。これなら観光や飲食やインバウンドが下がっても、また地域経済の核だったデパートや商店街が振るわなくても成長の芽と出来るのではないか?集客がやはり課題であることはEC通販と同じなので、PRや地域の特性を活かした広告展開(地元や出身者などのSNSやデジタル以外のメディア)も活用。補助金が出そうな考え方。ましてや起業が加わると地域の年代の融合にもなるような。

さて、後は実践して公表できる段階になったら、続きを書きたい。
次回は前回の続き、「事業の可能性診断」を先に書くつもり。