単品EC事業の改善・拡大ステップ

(1)「EC通販」見直しのまえに

 EC通販ビジネスは店舗を持たないから、始めやすいと考える人は未だもって多い。しかし、実際には参入はたやすいけれど、撤退も多い業態だ。毎年、多くの企業がEC通販をスタートさせては、わずか数年で退却しているのはなぜか。

なるほど通販には店舗という箱は要らないけれど、品揃えのための在庫負担、倉庫費用、顧客管理のためのコンピュータシステムなど、それなりの装置が必要であり、投資費用がそれほど少ないというわけでもない

しかし、そんなことより重要なのが自社の通販顧客(ハウスリスト)の育成、つまりリピート顧客を育てるためのノウハウづくりだ。

「ECサイトを作れば売れる」

「まだアナログチラシでも撒けば顧客が集まるはず」

「Eメールがだめなら、リアルDMを送ればなんとかなるだろう」

こんな軽い気持ちでの参入が、多くの撤退企業を生みだしている。

商品、媒体選択、広告デザイン……複雑な要素を絡み合わせながら、自社に合った独自の顧客育成プログラムを組み上げる。この作業を軽視した企業が、通販において成功した例はない。

したがって、EC通販の成功を目論む企業は、何をおいても顧客育成を第一に考えるべきで、そのためのさまざまなテスト実施をおすすめする。

そして、テスト段階に最も適した通販が「単品EC」なのである。理想をいえば、「単品EC」を1つ成功させた後、関連商品による新たな「単品EC」を立ち上げる。

それぞれの顧客リストをリンクさせながら、枝を1本ずつ増やしながら、ツリー状に成長する事業がよい。その理由は単純だ。リスクが少ないからに他ならない。
例えば、リピート施策が難しいモールなら、積極的にキャンペーンも使うべきで、モールで手軽に買いたいという顧客にはタイムセールや限定販売などが「買う理由」の一つになるのが明らかだからだ。

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(2)トップの意思決定が必要

  ここからは具体的に「どのように単品ECを見直し、改善、拡大したら良いのか」という、より実践的な面について解説していこう。
まず、細部の説明をするより先に、全体の流れを説明してみよう。
最初にトップの意思決定が必要である。通常のEC通販にくらべると、初期投資が少なくてすむとはいえ、それなりの投資が必要になる。しっかりとした可能性診断をしておかないと、後になって青ざめることになる。
続いてその意思決定に基づいて、事業コンセプトを構築する。自社がもっている経営資源をチェックし、できるだけ活用する。「どうしてEC通販なのか」というこだわりづくりも必要だ。
要は「売る理由」と「買っていただける理由」の統一を継続的にはかっていく。
その中で、何より大切なのはPDCAを毎日まわしていく必要があり、計画即実行~データ収集~改善~即変更や拡大を実施する。このスピードが大切なので、トップ(事業責任者)が担当者と同じデータを見て、細かい判断を積み上げていくこと。またそのような細かい作業も好きだ、という方にはお勧めしたい。「私のこういうところが好き」的な。「#私は私のここがすき」と言いつつ、オタクになっていく事とでも言おうか!?
 
さて、この続きは「事業の可能性診断」へと、しかしながら、次回に回す。
もう少し読んでいただけそうな方はkindleの試し読みなどへどうぞ。

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