EC通販での「メディア戦略」のポイント
今週からは以前に少し書いた通り、アナログ媒体(オールドメディア)も含めて、幅広く説明をさせていただく。特にコロナ2年目以降はデジタルよりアナログ広告の方が反響が高い事例が私の周りでは散見されたので。
(1)販売促進手段を決める
メディア戦略で重要なことは、メディアにどのような役割をもたせるかである。それにはEC通販の販売促進手段を決める必要がある。
つまり、例えばオールドメディアの代表格であるマスコミを利用して販売する「マスコミ通販」(オープン型の通信販売)か、会員などにCRMとしてカタログを送る「カタログ通販」(限定型の通信販売)か、どちらの方法をとるか決めるのである。
「マスコミ通販」とはマスコミ広告を使って、EC通販を実施する方法である。アナログ通販は新聞・雑誌・チラシなどの印刷媒体が主流だったが、最近はテレビやラジオなどの電波とスマホサイトの両方をうまく使うEC通販会社も増えはじめた。「カタログ通販」とは、マスコミ通販などで顧客を集め、集めた顧客を主対象にカタログを送って通信販売する方法である。
顧客さえ獲得できれば、低い販売促進費で実施できる。それには、ハウスリスト(自社顧客)がどの程度あるか、どれだけ集められるかなどがポイントになる。なので、昨今では公式LINE連携やSNSコミュニティーも花盛りなのであろう。こちらは将来の顧客(優良見込み客)と軽やかにつながる風ではあるが。
しかしながら、マスコミ広告は媒体料が高く、効率が低いと経費倒れになる恐れがある。媒体別のレスポンス率の分析などを的確に行い、科学的で効率の良い出稿方法を行わなくてはならない。こちらの発想は低予算でも可能な運用型TVCMやYouTubeやTikTokのショート動画などにもつながる。
それでは実際に通信販売会社がどんな媒体を利用しているか、また、媒体別広告費はどうなっているかを(公社)日本通信販売協会の調査から分析してみた。
①利用率からみた販促媒体
利用率から見ると、インターネットが91.8%と最も多く、次いでインターネット携帯(端末)、DM(リーフレット)、カタログ、テレビの順となった。ここでのDMとは「紙のダイレクトメール」で、リーフレットを含むということ。
これを属性別に分析すると、インターネットの利用率は最も低い「3億円未満」の企業でも95.8%あり、40億円以上の企業では利用率が90%を超えている。
これに比べ、DM(リーフレット)は専業企業に高く、40~100億円未満の中堅企業において、他に比べ低くなっている。これは、小規模企業はリーフレットを使ったDMを使う傾向にあり、大規模企業は商品を選んでリーフレットを作成していると考えられる。
カタログは専業企業と大企業ほど高い傾向にある。小規模企業になるほどカタログでなく、リーフレットを使用している。チラシもカタログと同様の傾向にある。新聞、雑誌、ラジオ、スポット広告などの広告出稿は大企業ほど高い。もちろん、コールセンター対応が必要となるので、EC専業の小規模企業は紙媒体を使いづらく、使わないのでノウハウが溜まらないということにつながり、老舗通販企業に多く。そのような中、パートナーとなりうるコールセンター会社と連携しているEC通販企業はデジタルもアナログも伸ばすという好循環も見受けられる。
②売上高との比率からみた販促媒体
販促媒体を金額面で見ると、インターネットは多くの企業で使用されているものの売上的にはまだカタログには若干及ばない。しかし、売上高構成比においてはDM(リーフレット)を抜いている。EC通販企業が直ぐに出来ることは同梱物の見直し、また外箱などもイメージ重視のメディア化することなど。物販である以上は商品を顧客に届けるのだから。
次回が長くなりそうなので、今回はここまで。
その次回は通販に向く各媒体の特徴について触れていく。