EC通販の「顧客戦略」のポイント,その2

今回は広告で「タイミングや予測、PDCAなどとも関係する」基本の話、その2。

1:顧客リスト獲得~マスコミ媒体を使う方法

 既存のリストがない場合は、新たに顧客リストづくりが必要になる。EC通販なら通常は各種のサイトからの誘導やマスコミ媒体などを使って見込み客リストを集めなければならない。

利用媒体としては「各種のインターネットサイト」アナログでは「新聞広告」「雑誌広告」「折り込みチラシ」「ラジオ広告」「テレビ広告」「その他のメディア」がある。(詳細は後日に)

それぞれ独自に特徴があるので、その特徴に合った使い方をすることが大切ですね。ただし、マスコミ媒体は相対的に媒体コストが高いため、より戦略的な作戦が必要になる。そのいくつかを紹介しよう。

①「1ステップ販売」商品を販売しながら顧客リストを収集する方法

○低単価通販でリストを集める

リスト集めのために、EC通販商品のなかに「低単価で購入しやすい商品」「有料トライアルセット」などを入れて購入させる方法。販売と実名簿集めの両者を狙った効率的な方法である。

 同じ考え方では、SNSの無料/有料ギフティングやLINEでのお友達獲得や紹介も。

○購入割引券をつけて販売する方法

商品を安く購入できるように購入割引券をつけて販売する方法。
こちらもインフルエンサー、特にマイクロインフルエンサーを活用して低単価でフォロワーを見つけるのと考え方は同じ。

②「2ステップ販売」という販促手段で見込客リストを収集する方法

○情報誌やカタログを無料プレゼント

厚紙の新聞折込チラシに「返信はがき」を刷り込み、応募していただく方法から、公式サイトやマスコミで告知し、スマホサイトやはがきや電話などで応募していただく方法などがある。

○試供品(サンプル)有償、無償の提供

食品や化粧品などの場合によく行われる方法。試供品の進呈という形で、見込み客の抽出を行う。無料提供でも数日のお試し品から現物1ヵ月分を差し上げるなど各社が知恵を絞っている。

○クイズ・懸賞に応募していただく

大型クイズ・懸賞を実施し、リストを集める方法である。懸賞サイトやポイント獲得のサイトへの出稿なども。
最近増えてきたのは、LINEでの簡単なアンケートでプロフィールを獲得なども。その後のナーチャリングやCRMにつなげる。

※①や②で気をつけたいのは、初回のオファー(特典)が次回の購入の際と大きく違う場合、要は初回(本品)無料や4~5千円もする商品を500円提供など行う場合は、初回のみ買う、いわゆるチェリーピッカーやCtoCサイトでの転売が増えるので、注意も必要である。

それであれば、コンセプトや使い方を発信し続けるSNSを運用して、ユーザーからの投稿も集めるなど、価格ではないコンテンツ運用が望ましいとも考える。

2:通販企業やカード会社保有リストを使用・レンタルする~アナログネタが多し。

通販企業やカード会社保有のリストは対象特性が明確に出ているため、リストの信頼度は高い。また、通販企業のリストを使えば通販マインドをもった見込み客ヘアプローチができる利点もある。どちらの場合も、相手の顧客リストを使うために、相手の企業名でDMが発送され、発送名簿の入手はできない。通常はDM素材を先方に納品し、先方から発送してもらい、オーダーがこちらに入ってくるシステムである。

通販企業のリストの活用方法は、次のような方法がある。通販会社によって利用できる場合とできない場合、できる場合でも利用範囲が異なるため、実際に活用する場合は、各通販企業に確認する必要がある。

さらに、送付先のプロフィールデータ(地域、年齢、性別、購入ジャンルなど)を分析し、自社の販促に適した媒体であるかどうか、十分チェックする必要がある。

①単独DM

リストを使って単独でDMを行う方法。性別、年齢別から購入歴に合わせることができる。DMはもちろん主催者から発送される。リストのレンタル料金が高額になる。

②カタログ同梱

通販会社が顧客に届ける通販カタログに同封して送付する方法。

③商品同梱

EC通販会社が顧客に届ける商品に同封して送付する方法。開封率やレスポンス率は高い。

④請求書同封

EC通販会社が購入者に届ける請求書に同封して送付する方法。重量や仕様、さらには利用時期などの制限がある。

3:顧客リストを拡大する方法

 ある程度の顧客リストが集まったからといって、安心してはいけない。つねにリストを拡大する努力が必要である。この項では集まったリストをどのように拡大するかについてふれてみる。方法としては3つ考えられる。

①MGM(メンバーゲットメンバー)プログラム/顧客からの紹介

購入者から、知人・友人を紹介してもらう方法である。紹介制度は、紹介した人、紹介された人への特典が必要になる。いうまでもないが、商品や企業に対する信頼性が高くないと、紹介制度は成功しない。

一般に、顧客に送付するカタログを使って紹介制度を実施する場合、自社への信頼関係ができていない顧客へ紹介を依頼するときは、注意する必要がある。企業への不信を招き、プレゼントのみの提供に終わることがあるからだ。高額な化粧品をEC通販する企業などでは、一定期間以上購入した顧客を対象に紹介制度を実施している。

ただし、新規客獲得に1万円もかかることを考えれば、うまく実施すれば、紹介制度は顧客リストをふやす好適な手法といえる。また、効果が早期に分かりやすいものは初期段階でもシェアされやすいので、顧客が誰かに伝えたくなる=例えば、知り合いから肌が良くなったね!など認められやすい時期はいつか?ということも気にしておく必要はある。

②リストの交換もしくは共同の販促実施という視点

EC通販の先進国であるアメリカでは大変普及している方法である。

日本では、個人情報保護や企業の秘密主義などの点から普及していないが、タイアップ商品の開発と共同販売などをキャンペーン仕立てにして複数企業でリストを集めてシェアすることも考えられる。もちろんパーミッションを確実に取る必要がある。

③店頭の商品問い合わせによる顧客登録

自社の店舗を持っている企業であれば、店頭への来訪者から氏名、住所などの連絡先を得る方法が考えられる。企業によっては社長が交換した名刺をこれに加えている例もあり成功している。LINEの公式アカウントやInstagramの友達やフォロワ-でつながるという手もある。

次回は優良客の予備軍を見つけるB2Small/Bという発想を書きたい。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!