EC通販の「顧客戦略」のポイント

久しぶりに連載再開。
先日までは主にEC通販、中でも単品ECに向く商品についてその品ぞろえや注目すべき商材、そして戦術的な内容まで書いてきた。

本日からは本命の「顧客」について、その戦略や戦術などポイントをおさえて記述したい。

(1)既存の顧客リストを使う方法

商品に次いで、重要なことは顧客戦略である。誰に対してEC通販するかの主力対象を設定し、そのリストをどのように集め、顧客満足度を高め、どのようにして顧客を拡大するかが「顧客戦略」である。

顧客設定の方法には、年齢・性別・生活程度・趣味などの属性分析の他に、ライフスタイルなども考慮しなくてはならない。

①ライフスタイル分析を考慮した対象設定

ライフスタイル分析とは、どういう生き方をしているかという、生き方や考え方から対象を分析する方法で、マーケティング手法や広告戦略に活用されている。生活の多様化で、性別や年齢で顧客を決められなくなってきているのである。

例えば、キャンプの流行でRV車がまた売れだしていると聞く。こう聞くと購入者は若い人と思われがちである。しかし、実際は20代から50代まで幅広い層に利用されている。つまり、RV自動車を売る際の対象は、「自動車でグランピングやオートキャンプを楽しむ新しいライフスタイルをもった人たち」であって、年齢・性別などで区切れるものではない。ただし、グランピングなら2シーター車でも、もちろんカーシェアリングでも可能だ。

これを読んで、顧客が「どういう生き方や考え方をもっているか」を顧客設定に加えることの重要さ、そして所有物だけではライフスタイルを特定することも難しくなってきていることがわかるであろう。

更に、男性の脱毛が流行っているらしい。数年かけて数十万かけてでも脱毛するのは髭だけではなく、すね毛なども。それに反して在宅勤務で画面越しのマスク生活という事で髭を生やし始めている中年も増えている、とか。
では髭剃りやそのスキンケア類はどうだろうか?、と。

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対象設定は、顧客リスト作成に大きな影響を与えるので、競合商品の研究やいろいろなマーケティングデータを活用して、慎重に設定する必要がある。もちろん、テストマーケティングによって、対象の検証をすることも大切なことである。それも複数を持つことが重要である。そしてライフスタイルに合わせて(想像して)語りかける必要もある。

では、実際にはどのようにして顧客を集めるのであろうか。

②既存顧客リストを使って構築する

まず、現在保有している顧客リストを活用してハウスリストを確保する方法がある。

現在実施しているビジネスをEC通販に発展させる場合は、既に保有している既購入者のリストを活用していると思う。しかし、通常、一般企業が保有しているリストは購入者の住所や氏名しか記録されていない単なる住所録の場合が多い。

それではEC通販の顧客リストとして活用できない。そこに注文した内容の履歴があれば財産となる。これがEC通販でいうハウスリストである。EC通販の課題はいかに多くのハウスリストを集めるかにある。既購入者リストに近いものとして企業関係者のリストが活用できる。社員とその家族、親類、知人や会社の取引先、仕入れ先、協力会社、社長や幹部が参加する各種団体、大学の同窓会名簿などが考えられる。

新規に単品ECを開始するにあたっては、売上目標にもよるが、例えば億越えを目指すなら1万人くらいのハウスリストを確保したい。EC通販の場合、ハウスリストの数で売上げが決まるといっても良い。その中でも特に稼働顧客(アクティブリスト)、1年に1回以上の購入者。もちろん日常品ではない、例えばギフト中心の場合はせめて2年間での稼働客が重要である。

(2)マスコミ媒体/メディアを使う方法

既存のリストがない場合は、新たに顧客リストづくりが必要になる。EC通販なら通常は各種のサイトからの誘導やマスコミ媒体などを使って見込み客リストを集めなければならない。

利用媒体としては「各種のインターネットサイト」アナログでは「新聞広告」「雑誌広告」「折り込みチラシ」「ラジオ広告」「テレビ広告」「その他のメディア」がある。(後日にメディア戦略は別途書きたい)

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それぞれ独自に特徴があるので、その特徴に合った使い方をすることが大切である。ただし、マスコミ媒体は媒体コストが高いため、より戦略的な作戦が必要になる。そのいくつかを紹介しよう。

 と言う訳で、次回は「そのいくつか」を書きたい。