単品EC実施/商品戦略のポイント~1

単品EC実施の場合、商品の考え方について経験からまとめてみる。

1:EC通販に適した商品

以前から単品EC(サブスク型のDTC)の改善拡大のステップを大まかに書いてきた。今後は、そのうちの「基本戦略」「事業計画」について、深く掘り下げ、実施のポイントをまとめていく。
最初に、基本戦略のうちの「商品戦略」について見てみよう。単品ECとしてふさわしい商品についてはニッチ市場を狙うと前述したが、ここでもう一度、整理してみる。

2:EC通販に適した商品、10の特徴

EC通販に適した商品として主に10の特徴があげられる。いずれかの特徴がある商品、または複数の特徴のある商品が売れ筋商品となる。

(1)独占販売権のある商品

 EC通販業界では制作コスト削減から既成の写真使用が多くなってきた。これではビジュアル面においても他社との差別化が打ち出せない。最も差別化戦略で効果が期待できるのは、商品の独占販売権を持つことである。期間限定の優先権も強力な武器となる。

(2)商品の効果、機能の説明が難解な商品

 大手量販店、スーパーなどでは、人口減少のあおりを受けて働き手が足りなくなっている。そのため、顧客は必要な商品知識を接客の機会で得ることが少なくなってきた。ECサイトや情報サイトではコンピュータグラフィックスの活用や動画使用で、商品詳細やその効果効能も簡単に説明できるようになった。ただし、自社サイトのみならずSNSやモールなどで何度も伝える努力が必要で、購入していただく前も購入後も「ご説明」は気を付けたい。

(3)開発の企画、意図が顧客の視点に立った商品

 EC通販は売り手、買い手双方向のマーケティングである。他の小売業よりも顧客情報を得やすい業態である。顧客の視点で企画、開発された商品は必ず売れ筋商品となる筈である。

(4)店舗にて購入時、羞恥心のある商品

 EC通販は売り手と買い手の当事者同士が顔をあわせずに商品を購入することができる。例えば、肉体的な部分を補正する商品、ゴルフなど技術的に未熟の部分を矯正する商品がこれにあたる。第三者に相談することなく購入できる利点がある。

(5)店頭での陳列効果が出ない極小商品、大型商品

 大型販売店などにおいて、非常に小さい商品は陳列効果も少なく、顧客は目にすることが少ない。また、大型商品、例えば、脚立などは坪効率が悪く、販売商品として採用が避けられる商品である。ECサイトや通販カタログではビジュアルにより、効果的な使用方法など詳細に顧客に伝えることが可能である。こうした商品はEC通販では主役に転進する可能性もある。

(6)リピート性、連続購入の可能性のある商品

 リピート性のある商品、消費性のある商品はEC通販向きである。特に単品ECでは健康食品などは定期購入コースがメインとなりつつある。ただし、いわゆる3回縛りや5回縛りなどが以前のように効果を示さない、また景品表示法に則った表現ではそのスペースが必要であり、表現次第ではネガティブ感が残る。ただし、ワントゥーワンが実現可能な単品ECでは顧客のフォローを細かく管理できるため、顧客にとっても、EC通販企業にとってもメリットがある。

(7)個数限定商品

 メーカーが大手量販店、または複数店舗を有する店舗販売向けに卸した商品については在庫の一括管理は難しい。窓口が一本であるEC通販は個数限定商品を販売終了するのに適した業態である。先着順に受注ベースを守れば顧客にとっても公平である。また予約販売という事前申し込みについても向いていて、昨今のクラウドファンディングで新商品デビューを告知する手法も言えば、予約販売要素も濃い。

(8)各業界の著名人・専門家が愛用している商品

 各業界の著名人、専門家はその道のプロである。顧客に説得力があり、また安心感を与えるものである。使用者の承認が得られれば、強力な商品となる。その使用状況、使用者のコメントは顧客への安心の素材となる。なので、EC広告やサイト作りの時には「権威性」も重要視される。

(9)価格訴求力のある商品

 EC通販は店舗販売よりも価格訴求力が強い。コストダウンを可能にできた背景、理由など、詳しく顧客に説明が可能である。割れせんべいや明太子の切れ子などの訳あり商品はこれに当たる。その理由をサイトのコンテンツやカタログで顧客への説得が可能である。また個別にクーポンや顧客を絞ったシークレットセールなどのプロモーションと組み合わせもしやすい。

(10)軽くて薄くて配りやすい商品

 少し観点を変えて書くが、昨今の物流費の高騰や再配達の増加の問題から、改めてポストインが可能な「薄くて軽い」商品が注目される。また、配りやすいという観点も顧客紹介を誘発する、という事では考えてみたい。

以上、次回に続く。