「単品EC®」の留意点

Facebookの告知とは違い、前回の続きを先に書いておきます。
Facebookの告知とは、「ドメスティックEC」について
前回は「単品EC®のメリットとデメリット」について
メリットとデメリットを書いたので、それに注意/留意しながら、下記もご参考に。

これまでもふれてきたように、EC通販は一般の小売業と事業形態を異にする。そのため、留意する必要がある点がいくつかある。とくに「単品だから……」というわけではないが、詳しくは「単品EC®」ハンドブックで

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そして、本論。「ある規模以上の場合」は下記をご参考に。

(1)社内コンセンサスを得る

 どんなビジネスでも、同じことが言えるが、会社の「人・モノ・金・情報」の支援体制は必要である。新規ビジネスを導入したからといって、すぐに結果が出るわけではない。同時に既存の卸売りなど実施している場合、既存の取引先から要望(当チェーンにも卸してほしい)やクレーム(無理な初回値引きは要検討など)が入る場合があり、どのようにEC通販ビジネスを展開するかを明確にしておかないと現場で混乱が発生する。そのため新規事業のメリットとデメリットの詳細な事前設計・検討が必要だ。幹部社員全員の精神的支援は不可欠である。

(2)EC通販ビジネスの特殊性を認識する

  社内の人間が、EC通販ビジネスの特徴をよく把握していないとつまずくことになる。たとえば、「商品原価率を低く抑えること」「販売促進活動が売り場に当たるため、広告宣伝費・販売促進費が売上げに占める比率が極端に高くなること」「購入商品の配送や申し込みが通信によるため、配送費や電話代などの通信費がかかること」「個別配送と個別入金確認」への理解が必要である。とくに留意しなければならないのが、本業の発想や延長で通販ビジネスを判断しないことだ。以前からEC通販から撤退する百貨店が多い(特にカタログ通販)のは、同じ小売業ということから本業の発想から脱皮しえなかったからだろう。

(3)EC通販ビジネスの組織を明確化する

 1つの組織であることの位置づけを明確にする。EC通販業は小売業である。直接顧客と対面しないので高度な対応が要求される。メーカーであれば組織を別にしない限り推進は難しい。また接客経験の乏しいメーカーはその点も大いに留意いただきたいし、顧客情報を集約することがビジネスに直結するEC通販ビジネスでは、問合せ・注文について会社の窓口の統一を図る。
特にB2Bの問い合わせ電話と一般の生活者からの問い合わせ電話は内容はもとより、口ぶりさえ違うので、両用できる器用な接客係(事務とは言えない)が複数人もいらっしゃるのなら素晴らしいが、そうはいかない現実も多い。

(4)EC通販ビジネス部門にやる気のある人材を投入する

 本業の付録のような軽い気持ちでは成功はおぼつかない。やる気のある優秀な人材を投入し、全力で事業に取り組む。ただし、最初は1名の責任者を中心に少人数で始めたほうがよい。EC通販の手法について、営業担当、企画担当、商品担当それぞれの専門性を持った人材がその特性を理解したときに成功の道が開かれる。

(5)EC通販ビジネスの経営ビジョン/戦略/施策を立案する

 行き当たりばったりで成功できるほど、EC通販ビジネスは甘いものではない。EC通販ビジネスの実行にあたっては、経営ビジョン・戦略・政策が明確になっていることが求められる。ただし、DTCとなるメーカーさん自らチェレンジしてみたいことや、アイデアは大怪我しない程度に、どんどんおやりになるべきで、その中で御社のオリジナル(企画)が見つかることも多い。なお、他社との比較や検討は重要ではあるが、あまり比べすぎるのも判断を誤ることも多い。それは、何がオリジナルか?御社なら出来ることは何か?御社の顧客が喜んでくれることは何か?という視点で変換することが何よりだからだ。

(6)良い外部パートナーを持つ

 EC通販ビジネスは店頭商品の広告宣伝や販売促進などのプロモーションではなく、事業全体を理解する必要がある。そしてこの広告宣伝や配送、ECサイト運用やコンタクトセンターなど主要な業務に外部パートナーを起用することが多い。そういう意味で外部の会社を決して業者扱いすることなく、事業パートナーとしてしっかりと長く付き合える支援企業を見つけることもとても重要である。

(7)撤退基準を明確にする

 計画に基づいたテストマーケティングの展開中に、予測よりも悪い結果が出る場合がある。その悪い結果が次の解決策への重要な手がかりになるにもかかわらず、次回のテストを待たずに止めてしまう経営者がいる。EC通販の場合、問題点が明確になれば必ず打つ手があると信じて、継続することが肝心だ。せっかく大成功につながる資源をもちながら途中で挫折しては、いままでの苦労が無駄となってしまう。新規顧客獲得など立ち上げ時に先行投資となることから、会計上の赤字期を事前に明確にしたうえで撤退の基準を設けておけば取り組みに明確な基準ができ進めやすい。担当に覚悟させることも重要だ。

次回は「単品EC®」の改善/拡大のポイントをステップバイステップとして、書いてみたい。