単品EC®のメリット・デメリット

「前回の単品EC®のススメ」を書いて、改めて実感しているのは、本当に昨今は0(ゼロ)→1が大変になってきました。ますます気軽にスピーディーに、かつ安価に始められるが、集客~固定客化が難しい。ホップ・ステップ・ジャンプの初期「ホップ」作戦でこれなら仕込める(笑)が少なくなってきて、このような中、弊社では複数社で企画検討~実施テストなどを一緒に実施するプロジェクトまで出来てきた。
そこで、改めてこのビジネス「単品EC®」のメリットとデメリットを整理しておきたい。
※トップ画像の出典は下記です。
https://genus.ai/blog/number-of-shopify-stores-globally-triples-during-the-pandemic/ 

1:単品EC®のメリット・デメリット


メリット:「単品EC®」だから、先ず始めることに価値がある。始めやすさこそ何よりのメリットですよね!?
新たにEC通販ビジネスへ参入しようとする企業にとっては「単品EC®」は過去のカタログ通販や強者が犇(ひし)めくモール出店等【※】よりもずっとハードルが低い。それは展開商品をひとつのジャンルだけに絞り込むことで、7つのメリットが生まれるからだ。
【※】ネットモールも使用させていただきますが…

(1)少ない初期投資ですむ

 EC通販に参入するには、やはりそれなりの初期投資が必要だ。サイトなどの制作費(WEB広告やチラシ・新聞などの制作費など)と媒体の到達費(リスティングやアフィリエイト費用やチラシの折込料や、DMの郵便料など)と合わせたリピート促進の販促費、受注センター、配送センター、顧客管理のためのシステム費や人件費はどうしてもかかる。しかし、商品が単品であればこれらの基本システムをシンプルに組むことが可能。
販売サイトもLP(ランディングページ)などの1ページものでも参入可能で、つまり少ない初期投資でも進められる。もちろん低価格なカートShopifyやBASEやストアーズのこの数年の店舗増がそれを表してもいる。

公的なレポートはこちらhttps://www.meti.go.jp/policy/it_policy/statistics/outlook/210730_new_hokokusho.pdf

(2)商品の独占が可能である(場合もある)

「単品EC®」の商品は多くの場合、「ここでしか買えない」魅力的な商品だ。逆に言えば、強い個性と魅力的なストーリー性がない平凡な商品では「単品EC」で成功することができない。だから魅力的な商品は、結果的に強い商品競争力を生み出すということになり、一点集中戦略と言える。製法の特許や成分の独占や海外からの総代理販売など、また商標などによる知的財産権を同時に守ることにより、更に一度広がると継続購入が見込め、より商品強化に努める(商品改良を繰り返す)ことでさらに継続が強化されるという良い循環が生まれる。

(3)少ない顧客からスタートできる

 これからEC通販に参入する企業の場合、通販顧客リストを持っていないのが普通だ。もしも、店舗の顧客リストや会員リストのようなものがあったとしても、それがイコールEC通販顧客になり得ないことは、EC通販をはじめてみればすぐにわかる。EC通販ビジネス開始にあたっては、顧客を一から作り上げることが不可欠であり、重要課題の一つだが、対象顧客を絞り込める「単品EC®」は効率のよいスタートが切れる。無駄の少ないシンプルな展開が可能なのだ。実際に1万件の顧客を持っていれば、年間客単価(狭義のLTV)が1万円以上で、年商1億円以上となり、その収益を確実に上げることも可能となる。それを数人で実施できるのが単品ECの魅力とも言える。

(4)購入促進の経験則を蓄積しやすい

 EC通販成功のポイントの1つに継続購入がある。リピート率(継続購入率)が高ければ、比較的少ない販売促進費ですみ、利益を出しやすいからだ。しかしリピート率を上げることは、そう簡単ではなく、商品選び、オファー、サイトやDM上の工夫などを組み合せて、独白のノウハウを積み上げる必要がある。企画や販売の実績がはっきり残るので注文数、かかった費用、注文者の特定ができることから分析し評価できる。
「単品EC®︎」の場合、総合通販に比較してWEBサイトでの多数の商品ページづくりは必要なく、経費が少なくてすむ。商品アイテムが少ないことで構造がシンプルなので、単品商品選びに注意し、経験則を読み違えなければ、ノウハウ蓄積は比較的進めやすい。初期に正しい読み込みの知識を身につけることが重要だ。

(5)総合通販に比べ、効率的な販促活動ができる

 総合通販に比べ単品ECの場合、販売する商品が限定される。したがって、対象も絞り込みができる。そのため、作成するサイトの商品ページやカタログは、ゼネラルカタログなどに比べるとはるかにボリュームが少なくてすむ。商品によってはLPのみやアナログ併用でも新聞広告や折込チラシ程度でも可能で、同梱のカタログにかける費用も少なくてすむ。しかし、新規顧客開拓にかかる費用は決して少なくはない。むしろ総合よりコストがかさむ。しかし、継続利用を進めることで、効率的な販売促進ができる。

6)バックアップ体制を構築しやすい

 「単品EC®」の場合、商品が少ないので、バックアップ体制としてのフルフィルメント(受注から発送、代金回収までの業務)もシンプルにできる。マニュアルをしっかり整備することでカートの運営や受注電話や商品発送の対応を緊急避難的に外部に委託することも可能だ。受注件数を予測して継続顧客や定期注文に対応して社内の体制をつくり新規獲得や季節的な変動は外部の力を頼るなどバックアップ体制が構築しやすくなる。

(7)利益を出しやすい

 「単品EC®」の最大の利点はここにある。商品にここでしか買えない競争力がありさえすれば、そして継続購入が可能な商品なら、EC通販ビジネスとして軌道に乗りやすい。商品では少ない品数を集中発注できることによるスケールメリットを小規模段階から進めやすい。販売ツールを集約してシンプルにできるなど経費圧縮のしやすさ。かつシンプルな販売構造やストーリーにより複雑な能力を必要としないことから、人材の育成がしやすいこと、人件費が比較的低く抑えられるなど、コンパクトに無駄の少ない運営ができるため、利益も出しやすい。営業利益20%が事業展開の目標だ。

ここまで書くと、経営手法である=PCやスマホの画面内のテクニックだけではないことへのご理解が深まったのではないでしょうか?もちろん、日進月歩のデジタルマーケティングのトレンドなどの情報収集やテスト施行はとても重要とも言える。

2:「単品EC®︎」のデメリット=ワンカテゴリーではリスクが大きい

 あまり発表されていないが、あるカテゴリーに限定して事業展開している単品EC企業の多くは利益を出している。しかしながら、商品を絞り込んでいるということが逆にリスクになることがある。中国に関連した商品であれば、中国製品・農産物の残留農薬問題が直接影響する。BSE(狂牛病)による牛由来製品の安全性から牛由来製品を扱う化粧品・食品企業がダメージを受けたことも過去にはあった。昨今のコロナ禍での輸入の遅延や物流コンテナ確保の難しさなど。また原料も値上げ・・・。
従って、カテゴリーを絞りながらも単一商品で全売上の30%程度になるように売れている時こそ、新商品や新ジャンルの開発を急ぐ必要がある。事業に休みなしだ。

(1)単品ECの限界

 例えば、日本の労働人口6,700万人の1%が商品を買ってくれて、LTV(1人あたり年間購入金額)が10,000円とすれば、67億円の売上。LTVが30,000円で約200億円。単品EC企業が複数ジャンルを手がけて数百万人リストを手に入れたとして、200億円から300億円が限界と言われてきた。中には500億円やその倍に迫る企業もあるが、日本国内のみで1,000億円オーバーや、ましてや1兆円などを狙うとなるとビジネスモデルそのものが違う。ただし、メリット項目でもそれとなく触れたが3億円や5億円で立派に利益を出している企業が多い、かたやそのライバルは多数いるとも言える。
 

2)スモールスタートの可能性と弊害

 コロナ禍で益々SNSに対する接触率が増えているようだ。スモールスタートの可能性としては商品販売前にファン獲得をしておく、という手段が注目されている。事業主や責任者が自ら(マイクロ)インフルエンサーを目指し、コミュニティー形成をしておくこと。自社が目指す商品ジャンルや事業コンセプトを表現できるようにInstagramやLINEやTwitter、年齢(高い方)によってはFacebookなどで先に見込み客を集めておく。もちろんYouTubeなどの動画サイトもである。この活動は自らを専門家にしていくことが重要で、またLINE公式などのミニアプリを活用してCRMまで実施し始める。知恵と工夫と、デジタルやクリエイティブセンス(文書力や撮影、写真加工術など)を高めて、コミュニケーション力(=接客力)を何より早く始めて継続する。デメリットとしては商品の独占で書いたことの裏返しで、模倣や類似手法も速い。

(3)ノウハウが俗人化する

 単品ECに限ったことではないが、まだまだ歴史の浅い小売業であるECは、ややもすれば一人や複数のスタッフのみにノウハウが俗人化してしまい、その方が居なくなると事業がストップする。割と聞く話でもある。また商品や組織を変えてのリスタートでは上手く再現性が発揮できないケースもあるようだ。少人数であるなら事業責任者がその全容を掴んでおくことは、せめて実践しておきたい。

さて、次回はこのメリットやデメリットも含めて、更に留意することを書きたい。
なお、冒頭のホップ・ステップ・ジャンプの「ホップ」のアイデアがあれば、ぜひ協業したいものだ。昔はマスコミに取材として取り上げられれば、とか「〇〇番組」に協賛すれば、とか。〇〇タレントと組めれば、とか。
戦略的にPRを仕込んでおけば、や有力なインフルエンサーと組めば、更にはアフィリエイターさえ囲みこめれば、、、等々。次のホップは何であろうか?広告回りではない気がしてならないが、なお、弊社でも思いついたら即テストしてみたい。上手くいけば別の場所でシェアーします!(笑)

シェアーはDMGCサロンで(^▽^)/

※「単品EC」も「単品通販」も株式会社ダイレクトマーケティンググループの登録商標です。