3種の商品の品揃えと,上下/左右に拡大

単品ECとは言え、1品だけでビジネスを継続していく訳ではない。基本は前回に書いた通りであり、「単品EC」実施の最重要課題は、魅力的な商品を発見、あるいは作り出すことにある。もちろん最近のように商品がない段階でSNSのノウハウページやクラウドファンディングで先に見込み客がいるという場合も増えているが、成功しているEC通販は競争力の高い「主力商品」を持っているのが普通である。
そして、「主力商品」を核に「入り口商品」「補完・関連商品」といった目的の違う商品を組み合せ、商品ツリーを作るというマーチャンダイジング戦略が必要である。

①入り口商品

 EC通販をスタートした時は顧客リスト獲得が優先課題になる。そんな場合に必要なのは「入り口商品」だ。例えば、「買わなきゃ損」と生活者に思わせる商品で、価格もしくは高機能でお得感を持たせた商品。時としてお得感を優先するために、利益が少なめな商品もある。主力商品そのものが入り口商品となっているのは理想的だ。そういう意味ではTVショッピングでは偶に見かける放送後30分以内まで本品2個組というオファー(特典)もある意味で、入り口商品であると言える。
そして、企業イメージやコンセプトを表現していることも、「入り口商品」の大切な要素だ。顧客に出会うための商品ということ。

②主力商品

「主力商品」とは多数の顧客に受け入れられ、リピート購入率も高い商品であり、その企業を代表する商品、企業収益を支える柱となる商品である。
多くはその企業の最も得意な分野やアイテムの中から、市場性にマッチするものを選び、さらに新ネーミング、パッケージ、こだわりストーリーなどを加えて「単品EC」仕様の商品を新たに開発することになる。
ここで注意してほしいのは、店舗等、既存ルートで流通している商品をそのまま流用しないこと。理由は2つ「ここでしか買えない希少性」がEC通販の差別化ポイントであること。2点目は「店頭での実売価格の管理ができず、廉売されている場合があるため消費者に混乱を与える」ということだ。メイン商品が値引きされていては混乱する。自社の直営店販売ではない場合は、せめてパッケージや容量などによる差別化は心がけたい。
また、モノをモノとして売る店舗販売と、モノに付随する「物語性」を付加価値として売る「単品EC」の特性も理解しなくてはならない。
なおかつ、単品で訴求できるインパクトが必要だ。だから、結果的に「主力商品」はEC通販オリジナルになる。

③補完・関連商品(サブ商品)

 主力商品を柱にリピート購入してもらうことで、「単品EC」のビジネスは成立つ。しかし残念ながら、1つの商品だけに頼っていたのでは、ユーザーが飽きてしまう。
そこで必要となるのが関連商品の開発であり、「クロスセル(販売)」という手法だ。
「関連商品」はなんらかの要素が「主力商品」と共通していた方がよい
例えば、ローヤルゼリーを主力商品とする会社は、関連商品としてプロポリスを販売する。さらに、蜂蜜、蜂蜜石鹸へとアイテムを広げていく。これは事業構造上も重要だ。EC通販の場合、客単価が重要となる。その訳は3,000円の注文も1万円の注文も等しく間接費はほぼ同じ。要は電話なら6分間の人件費と通話料と物流費がかかる。単価が低いからといって受注電話を3分にするなどできない。更に物流費もあまり違わない場合もある。したがって客単価をアップするように商品提案できることは重要となる。
そういう意味では、主力商品の機能性を高めてプレミアム化を行い、優良顧客用商品として商品ラインナップを増やすという戦術もこの考え方に近い。
自社では商品の品ぞろえに限界があったり、時間がかかる場合には、例えば無農薬有機米を産直通販するのなら、温かいご飯にあう副菜、あるいは米からつくった吟醸酒や、味噌もよいかもしれない。その土地の良さを販売するということも考えられる。例えば、○○県特産品や○〇地方でのEC通販企業のタイアップなど。仲間を集めて、そのエリアを売り込むというイメージ。
産直で無くても関節系の機能性表示食品にサポーターや磁気ネックレスなど自社商品+仕入れ商品という品ぞろえも柔軟に考える。

この「クロスセル」はそれぞれの商品の顧客リストをクロスさせて活用する手法であるともいえる。例えば、ダイエット食品を買った顧客には、関連商品としてダイエット器具を紹介する。そして、ダイエット器具を買った顧客にはダイエット食品を紹介する

しかし、あくまでも単品ECの場合は、商品のアイテム数を増やさない方がよい。アイテム数が多いと、商品管理が面倒になるばかりでなく、販売コストがかさむことになる。アイテムを横に広げることよりも、より強烈で魅力的な商品を育てることに尽力すべきである。

④上下に、左右に商品を広げる

 上述のアイテム数を広げるな、とは多少矛盾することも書いておく。マッピングすると分かりやすいのではあるが、価格を縦軸に特徴や成分やターゲットなどを横軸にして十字のマップを作る。ど真ん中にメイン商品を置いて、上下を考える。上下は価格帯なので、「大容量」や「小容量」や「限定(プレミアム)版」など。そして左右は特徴を強めたり、弱めたり。それに類似して成分の多寡。またターゲットを性別や年齢や時にはエリアなどに変えていくと、思わぬ商品開発が出来る場合がある。

EC通販企業の中には、メイン商品と敢えてライバル関係になりそうな商品を横に投入して、複数商品でそのカテゴリーのシェアを取っていく、という手法を使っている会社もあるので、そういう意味では自由な発想が好ましい。
ぜひ、社員間で競争もしてほしいものだ。

⑤マーケットインは!?

 そして、最後に夏休み期間中の子供のように円グラフで考える方法。円の真ん中にメインターゲットを入れる。円は1日の生活(時間割)や1週間や1か月やシーズンや1年なども考えてみる。そうすると1日なら朝起きて夜寝るまで。寝ている間の商品もあり得るので、やはり1日中。こうして、朝コーヒーや昼休憩珈琲や、寝る前のノンカフェイン珈琲などが思いつく。朝用せっけんや夜用せっけんや同クリームなども。プロダクトアウトもマーケットイン思想も両方大切。1歩も2歩も踏み出してみるということ。

次回は今後も期待される商品群について、自由に書いてみたい。