EC通販事業「コンセプトの設計」
(1)事業コンセプトが明らかなブランド企業になること
EC通販の実施にあたり、要員計画や基礎教育などの準備が終了したとして、次にすべきことは事業コンセプトの確認である。事業コンセプトを構築する際に先ずしなければならないことは、自社のもっている経営資源のチェックである。また、普段お取引があるパートナー企業まで広げるとアイデアも広がる。
さて、自社にどんな財産があるかを調べることから。経営資源には企業をとりまくすべての要素が含まれると考えて良い。
EC通販を実施する際は、経営資源で活用できるものは、できるだけ活用する。そのなかでもとくに重要な項目としては、「商品関連資源」と「顧客関連資源」があげられる。
①商品資源関連
「商品関連資源」に関しては「商品構成」「商品特徴」「商品企画力」などがある。わかりやすくいうと、単品ECを実施できる良い商品があるか、EC通販にふさわしい商品企画ができるか、EC通販商品を継続的に供給できる製造・栽培・仕入れ能力があるかが大切である。そして他社との差別的優位性とそれを合法的に分かりやすく一般の方にご説明できるのか?
②顧客関連資源
・「顧客関連資源」に関しては、顧客情報をどれだけつかんでいるかが重要である。つまり、どれだけの顧客名簿があるか、その名簿が実際に役に立つ生きた名簿としてデータベースで管理されているかが大切になる。
・「販売管理資源」としてコンピュータやPOSシステム、配送機能などが活用できないか?またその費用感は!?
・「広告販促資源」として、自社媒体が活用できないか、有効な販売促進を実施しているか?
・「企業イメージ資源」として企業イメージが活用できないか、社員の能カを最大限に引き出す方法はないかなど、経営資源をできるだけ活用し、最小の投資での実行を考える。従業員のパーソナル性や小さくても良いのでタレント性やSNS親和性なども。思わぬ利点になるときもある。
③企業理念を明確にする
事業コンセプトとは、どのようなEC通販事業を実施するかの「企業理念」をもつことからはじまる。EC通販の「企業理念」とは、EC通販ビジネスの指針となるもので、EC通販の方向性を示すものである。
どの分野で、どんな商品で、どんな顧客に貢献するのかを明確にしなくてはならない。明確な企業理念なくして、有効な事業コンセプトはありえない。
また、どうしてEC通販なのか?、「自社のEC通販を利用させる理由」(EC通販商品としてのこだわりとサービスの優位性)をつくる必要がある。
④ストーリーをまとめる
事業コンセプトを具体的なストーリーとして、具現化することも大切だ。たとえば、企業については歴史や由来、商品については開発意図や経緯をわかりやすくまとめておく必要もある。過去のデザイン資源も重要となる。
顧客に納得してもらえる内容なら、商品に付加価値が付けられ、支持される可能性が大きい。お客様はロマンチストだ。「こうなりたい!」と願う心に応えられるのか?今の不快を和らげてあげられるのか?次の夢を応援してあげられるのか?など。
コンセプトをまとめる必要性は理解していただいているだろうか?商品は決まっている。売りたいのはこの商品だから、お客様に魅力的な広告をつくっていると思いがちだ。自ら商品を愛することは重要だが、盲目にならずに顧客目線(冷めた第三者目線)も常に意識しておく必要がある。
しかしながら、何度も申し上げているように、わざわざEC通販で購入しようとするお客様は商品にまつわる付加価値を求めている場合が多い。商品を買う決意をするためには、商品(価格や機能)は良くて当たり前。もはや勝負は、そのEC通販企業は自分の眼にかなうか、信頼に足り得るかが意志決定のポイントとなる。
言い換えれば、EC通販企業はブランド企業になる必要がある。
「この会社なら大丈夫」と思ってもらえないと買わない。モールならそのプラットフォームの信頼性などに頼ることは多いが、自社ECのハードルは高い。コンテンツ内容や操作性、安心できるスピードと機能など。
小企業であろうが、大企業同様のブランド戦略の意識が導入時から必要だ。(注意:デザインやイメージ広告だけにお金をかけろという意味ではないのでご注意を)
そういう意味では他社の事例やEC通販の歴史も知っておくと参考になるかしれない。前著がAmazonで安くなっていた。古い事例だが・・・
次回は各段階の戦略~戦術について、出来る限り詳細を書こうと思う。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!